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【予報士解説】原因は「暖湿流」さらなる大雨か 水曜以降は「10年に1度」の猛暑【バンキシャ!】

2023年7月9日 23:52
【予報士解説】原因は「暖湿流」さらなる大雨か 水曜以降は「10年に1度」の猛暑【バンキシャ!】

西日本を中心に大雨による被害が相次いでいます。大雨は週半ばまで続く見通しで、その後は「10年に1度」の猛暑になるとも予想されています。気象予報士で防災士の木原実さんに、今後の見通しや、避難する際の注意点などについて解説してもらいます。(バンキシャ!)

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これからもまだ雨が続きそうなんです。現在、気象衛星のかたちを見てみますと、雲の帯が日本列島に沿うように並んでいます。これがいわゆる梅雨前線に伴う雲の帯ですが、前線だけではあれほどの大雨にはなりません。前線に沿うようにして、暖かく湿った空気「暖湿流」が流れ込んで来て、これでたびたび線状降水帯が発生したりという現象になっているんですが、問題はこの「暖湿流」の源がどこにあるのかなんです。よく見ると、雲の帯は中国大陸まで続いていますね。こんなに遠くの方から前線に向かって湿った空気が流れ込んで来ているんです。

先月から中国では猛暑や大雨が続いているんですけれども、いつもの年より中国大陸経由の暖かく湿った空気「暖湿流」が強いように思われるんですね。そういうわけで、雨がまだ続きそうなんです。

この後、9日午後7時、まだ九州に強い雨雲があります。中国地方は少し小康状態ですが、北陸や東北の方へ、雨の範囲が広がってきています。この後の予想なんですが、いったん小康状態となっても、九州北部では日付が変わったころにまた、西から流れ込んでくる湿った空気で雨雲が発達しそうなんです。強い雨や激しい雨が断続的に降ります。10日の通勤通学時には、かなり雨脚の強い所が出てきそうです。

その後も雨は続きそうです。10日午後になってだんだん雨の範囲は狭くなって、いったんは弱まっていくようにみえますが、これでまだ終わりではないんですね。この先も雨が続いていく予想となっています。

予想雨量を見てみますと、福岡県、佐賀県、長崎県のあたりで、特に強く降りそうです。10日午後6時までに九州北部の多いところで200ミリ。中国地方、北陸、東海で100ミリなどとなっています。特に地盤の緩んでいるところが多い九州北部などは、この200ミリというのは非常に危険な量なんです。降り続いた後のさらなる200ミリということなんです。少しの雨でも崖や斜面が崩れる所があるかもしれません。

■避難で注意すべきことは?

──状況によっては今後、避難を検討するという方もいらっしゃるかと思うんですけれども、改めてこの避難を検討する際に注意すべき点をまとめてもらえますか。

まず、一つは、避難のタイミングは、明るいうちにしてほしいと思います。暗くなってからの避難は大変危険です。そして避難をするときは普段と違いますから、普段以上に気を使ってください。けがを防止するために長袖・長ズボン、それから雨だと「長靴」っていう発想もあると思いますが、長靴ですとかえって水の抵抗を受けたり、中に水が入って歩きにくくなったりします。ですから履きなれたスニーカーなどを着用してください。もうぬれることは気にしないということです。あと、万が一、転倒した時のためにヘルメット。それから転んだ時に手をつきやすいように、両手をあけるためにリュックを背負う。

マンホールや側溝などは濁流の中では見えなくなってしまいます。歩く先に何があるか分からないので、つえとか傘でもいいです、歩く先を確かめながら一歩一歩ゆっくりと移動するようにしていただきたいです。

──この後、大雨の後で暑さも来るという話も出ていますか?

そうなんです。梅雨前線が徐々に北上してきますので、まだ火曜日あたりまで西日本の大雨は続きそうなんですが、その後、東日本にしても晴れてきますと一気に気温が上がるんです。

10日、東京は35℃で、猛暑日の予想となっています。これは東京では今年初。熱中症警戒アラートも初めて出されています。そんな状況が長く続くので、熱中症警戒アラートが出ているか否かにかかわらず、熱中症には厳重な警戒が必要になってきます。

しかし、目先はまず大雨への対応ということで、最新情報を確認するようにしてください。

(*7月9日放送『真相報道バンキシャ!』より)