「せき止め」など深刻な在庫不足に…「かぜ薬」がもらえない? コロナ・インフルに加え “秋の花粉症”にも影響か
寒暖差で体調を崩しても、「かぜ薬がもらえない」…そんな危機的な状況が、都内の薬局で現実になりつつあるというのです。新型コロナやインフルエンザだけではなく、“秋の花粉症”にも必要な「せき止め」などの“薬不足”が深刻化している原因とは?
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16日、東京・品川区の薬局を訪れると、メーカーの出荷調整などで月に1回しか入荷がない、「せき止め」の薬の在庫表を見せてくれました。
ポッポ堂薬局 五反田店 管理薬剤師 荒井伸幸さん
「“せき止め”の医療用の薬は、在庫が不足しているのがほとんど。(“せき止め”薬の在庫は)10人分とか20人分くらい」
まだ10月も半ばなのに、16日にも、薬がなくなるおそれがあるというのです。
今でさえ、新型コロナやインフルエンザの患者にも十分な量の薬を渡せていないうえ、咳の症状が出やすいとされる“秋の花粉症”や“カゼ”の患者への薬の処方を断らざるを得ないこともあるといいます。
ポッポ堂薬局 五反田店 管理薬剤師 荒井伸幸さん
「花粉症による“せき止め”の処方は、ほとんどの患者にお渡しできていない状況」
「“静かな医療崩壊”みたいなのが起きている」
症状が出ているのに、「せき止め」の薬がもらえないおそれがあるのです。
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その“秋の花粉症”ですが、専門家によると、実は生活に身近なところに“リスク”が潜んでいるのです。
相模原市立博物館 秋山幸也 学芸員
「これ全部そうですね…“カナムグラ”といいます。」
“カナムグラ”をつかんで少し揺らしてみると、粉のようなものが出ていました。これが、“秋の花粉症の原因”。「カナムグラ」や「オオブタクサ」などの雑草です。
“やっかい”なのは、身近なところに生えているということ。
相模原市立博物館 秋山幸也 学芸員
「(春の花粉症の原因)スギの場合は、植林地に多い。(秋の花粉症の原因)カナムグラは、身近なところにある。“気づかないうち”に、“秋の花粉症”になっている方が多い」
自宅や河川敷など、生活に身近な場にある雑草のため、気づかないうちに“秋の花粉症”になっている可能性もあるといいます。例年は9月から10月にかけてピークを迎えますが……記録的に暑かった夏の間にためこまれた花粉が、涼しくなったいま、一気に“大飛散”しているというのです。
相模原市立博物館 秋山幸也 学芸員
「夏の間に、ツルと葉っぱを広げるだけ広げて、たくさんはびこっておいて、いま少し気温が下がって、雨も適度に降るところで、“ドーン”と花が咲いている可能性があります」
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16日、都内の河川敷に遊びに来た人は、これまで“春の花粉症”になったことはあるものの、初めて“秋の花粉症”になったということです。
30代
「声がたまに、いがらっぽくなるというか、気を抜くと鼻水も出てしまうので」
お菓子を食べるため、少しの間マスクをはずしただけで、鼻とのどの症状がすぐに悪化したといいます。
30代
「マスクをはずしたら、ちょっと鼻水がたれてきた」
「春は定期的に薬を飲むのがくせになってますけど、秋(の花粉症)は今年からなので、(薬飲むのを)忘れるとしんどい」
千葉県松戸市にある耳鼻咽喉科が専門のクリニックでも、3歳の女の子が生まれて初めて“秋の花粉症”となるなど、最近になって患者が増えているといいます。
そして、このクリニックでも“深刻”だというのが、「せき止め」などの薬の不足です。
北小金こじま耳鼻咽喉科 小島慎平 院長
「“せき止め”とか“たん切り”の薬がかなり少ない状態で、ひっ迫しています。特に、“せき止め”は、かなり少なくなっています」
寒くなるこれからの時期、体調を崩しても「せき止め」の薬がもらえない可能性が高まりつつあります。