“濃厚接触者”特定と連絡は「感染者本人で」――自治体、相次ぐ方針転換ナゼ? 課題も
新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大で、感染者本人が濃厚接触者に連絡する方法を取り入れる動きが出ています。背景には、ひっ迫する保健所の負担軽減があります。既に実施している那覇市に取材すると、メリットとデメリットが見えてきました。
■広島知事「保健所業務を減らす」
有働由美子キャスター
「感染者の急増に伴って増えていくのが、濃厚接触者です。これまでは保健所が感染者に『いつ誰と会ったか』などを聞き取り、濃厚接触者を認定して連絡していましたが、これをやめて、感染者本人が濃厚接触者に連絡する方法を取り入れる自治体が出てきています」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「25日夜、この方法に変えると明らかにしたのが広島県です。湯崎知事は、その理由について、保健所の業務を少しでも減らして入院優先度の判断、自宅療養者が急変した場合の対応、クラスター対策などを重点的に行うといいます」
「また、オミクロン株は潜伏期間が短いことから、濃厚接触者を把握した時点で既にその人が発症しているケースも多くなる。それならば、積極的に濃厚接触者を探す意義も低下したのではないかとのことです」
■「感染者が連絡」で効果と課題は?
小野委員
「この方法は、東京でも始まっていて、文京区や江東区では24日からスタートしました。また沖縄県那覇市では1月9日から取り入れています」
有働キャスター
「感染者本人が本当に、きちんと濃厚接触者を認識できるのでしょうか?
小野委員
「濃厚接触者の定義を、保健所が伝えているそうです。同居している人、そして感染者が発症した2日前から隔離されるまでの間に、マスクなどをつけず、目安として1メートルで15分以上の接触があった人などを濃厚接触者として、連絡を取ってくださいと頼んでいます。ただ、那覇市では、良い点と課題と両方が見えてきたそうです」
「良い点としては、これまで保健所から濃厚接触者に連絡していましたが、それをなくし、その労力で、感染者にその日のうちに連絡ができるようになりました。以前は3日ほどかかることもあり、連絡が追いつかない感染者が1000人にのぼったこともあったといいます」
「一方で課題は、実際に感染者が濃厚接触者にどこまで連絡しているかを保健所が把握しきれないことだといいます」
■落合さん「リスクの天秤冷静に」
有働キャスター
「落合さんはこうした方法についてどう思いますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「潜伏期間が短くなっていると一説に言われているので、濃厚接触者の定義も状況に合わせて見直さないと、パンクする状況になるなと、素人ながら思います。(状況は)変わっていくので、そういったリスクの天秤は、常に冷静に見ないといけないと思います」
「僕の周りに最近、陽性者はいませんが濃厚接触者と言われる人がだんだん増えてきて、自主的に隔離などをしています。『濃厚接触者の濃厚接触者』になっている人まで見つけていくと、保健所はパンクしてしまって大変です」
有働キャスター
「いつ友人や同僚から連絡が来るか分かりません。来た瞬間は複雑な気持ちになるかもしれませんが、『私や周りの健康を思ってくれてのことだ』という風に(考え)『教えてくれてありがとう』と伝える心構えと、自宅待機の準備は進めておきたいと思います」
(1月25日『news zero』より)