完成間近のマンション「解体」決定 “富士山”が原因か… 景観に反発も 東京・国立市
来月にも部屋の引き渡しが始まる予定だった国立市の10階建てのマンション。突然の「解体」が決定しました。完成間近の今、いったい何があったのでしょうか。
大町怜央フィールドキャスター(東京・国立市 10日午後)
「こちらのマンションですね。すでにほとんど完成しているように見えます。ベランダでしょうか、ガスの給湯器のようなものも設置されています」
東京・国立市で建設が進められる10階建ての分譲マンション。全18戸で、価格帯は7000万円台が中心。来月から、購入者に引き渡される予定でしたが、急きょ解体されることとなったのです。
大町怜央フィールドキャスター
「マンションの前には貼り紙が2枚、貼られています。1枚が事業中止について。そしてもう1枚が6月10日より、建物解体に向けた準備を進めると記載されています」
近隣住民
「びっくりじゃないですか! 建ったのに…そんなこと」
マンション近く 飲食店の店長
「もったいないと思います。せっかく作ったものを壊すっていうのは」
――解体されることでお店に影響は?
マンション近く 飲食店の店長
「もし(マンションが)できていたら、お客さんが来てくれたんだろうな。なくなっちゃうんで期待できないですね」
いったい何があったのでしょうか。
近隣の住民が見せてくれたのは、マンション“販売当初に配られた”というチラシ。窓の向こうに富士山が見えています。
実は、この富士山が解体のきっかけとみられています。
マンションが建設された目の前の“通り”。
大町怜央フィールドキャスター
「富士山が見えるということで、こちらの通り、『富士見通り』という名前がつけられているんですが、まさにこの通りの奥、天気がよければ富士山を見ることができる」
4年ほど前に「富士見通り」で撮影された写真を見ると、その名の通り、道の正面に富士山を望むことができます。しかし、去年マンションが建設されると、富士山の半分ほどが隠れ、見えなくなってしまいました。
建設前、こうした状況を懸念した住民から、「景観が損なわれる」と、反発の声があがっていたのです。
別の住民も、市内から見える富士山の写真を撮影していましたが、マンションが建ってからは、次の写真のような状況に。
近隣住民
「日常的にこの景色を見てた者としては、非常に残念なこと」
建設した積水ハウスは、マンション周辺の影響について、着工前に住民との話し合いを行っていました。
当初、11階建ての予定だったマンションですが、市民からの反発を受け10階建てに変更。しかし、これにも多くの市民が反発し、陳情を受けた市長が、積水ハウス側にさらなるボリューム感の低減などを求める指導書を交付しました。これを受け、さらに2メートルほど低くする変更案を出したものの、反発の声は収まりませんでした。
一方で、市の基準や法令は満たしていたため、去年1月にマンションの建設が始まったのです。
それから約1年半。完成を間近に控えた先週に事業中止と解体が決定。
積水ハウス
「建物周辺の影響に関する検討が不十分であった」
契約者には、順次、返金などの対応を行っているということです。
(6月10日放送『news zero』より)