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家族と暮らした思い出の場所・川崎で再オープン 能登半島地震で全壊した飲食店「わじまんま」

2024年6月10日 20:29
家族と暮らした思い出の場所・川崎で再オープン 能登半島地震で全壊した飲食店「わじまんま」

能登半島地震で倒壊したビルに押しつぶされた飲食店が、10日にお店を再開させました。店主は、かつて家族と一緒に暮らした思い出の場所で、再起を誓いました。

10日に神奈川県川崎市の京急川崎駅近くにオープンした居酒屋「わじまんま」。店に並ぶのは…

店主 楠健二さん
「カサゴ、マダイ。能登の魚」

能登半島でとれた新鮮な海の幸です。

店主 楠健二さん
「これはぬかづけ、日本酒にすごく合う。サバとカワハギとイワシ、フグの卵巣」

店主の楠健二さんに、オープン前に話を聞きました。

楠健二さん(神奈川・川崎市 10日)
「ほら『復興中』。営業中なんだけど『復興中』。俺も『復興中』だし輪島も『復興中』」

かつて、この店があったのは…

楠健二さん(神奈川・川崎市 10日)
「輪島にある店は全壊して、普通じゃない全壊。地震の象徴のように、ビルがずっと横たわっている」

今年の元日、日常は一変しました。

あの日、輪島にある店舗兼自宅は、大きなビルに押しつぶされました。妻と長女ががれきに挟まれ、楠さんは目の前で、助けを求められました。

楠健二さん(神奈川・川崎市 10日)
「出そうにも出せなかった、のこぎり一本で出そうとした、出るわけないじゃん。おれ(娘の)足を切ろうとしたの。切れるか?それ。切れたら助かってたよ。目の前にいたから、助けられなかった俺の…わかる? みんなも好きな人いたり、親・娘でも。目の前で『助けて』って言われてるのにさ、引っ張りだせなかったんだよ。一生懸命やったんだよ、それでも」

地震から数か月間。2人の思い出を何度も探しました。

楠健二さん(石川・輪島市 今年2月)
「(妻からの)プレゼント。『時間守ってね』って常々怒られてたから俺」
「探してた(長女の)携帯。これで…次の一歩進めるか分からないけど」

一歩を踏み出したのは、かつて家族と過ごし、店を出していたこともある川崎でした。

楠健二さん(神奈川・川崎市 6月)
「この店はとりあえず生活の基盤をつくるための店」

のれんも、食器も、Tシャツも、がれきから救い出された物です。さらに…

楠健二さん
「ほんと、あの時のまんまだよ」

時が止まったままの時計。

楠健二さん
「ここに飾ったら、なんでこの店の時計は止まってんだ的なところから始まると思う。そして言われたら、あの時こうだって言える、話の種になるかなって。ちょっと俺が入る時はいつも(気が)重くなるけど、これ見ると」

だから少しだけ、見えないように置いているといいます。あの日を思い出す物に囲まれた店内。それでも…

楠健二さん
「輪島を知らない人も当然いっぱいいるから、その人たちに今の輪島を知ってもらうために開けたようなもの」

「輪島の『わじまんま』は(6年前の)6月10日にオープンした。必ず6月10日にしようって決めてた。何かあるかなと思って。何かがね」

迎えたオープン初日。

楠健二さん
「仕込みしてるけど、輪島の『わじまんま』の量でやってるから、規模に合わない気がしてしょうがない」

そして午後5時半頃、お客さんが続々と訪れました。店を再開させ、思うことは…

楠健二さん
「輪島を伝えていこうと思う。一日でも早くしないと、どんどん遅れていっちゃうし。でも戻すには人の力が必要。こっちから少しずつ発信していこうと」

「忘れないでほしい。過去のものじゃない。現在進行形なので、より多くの人が輪島を、なんでもいいので助けてくれたらいいなと」

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