妻子亡くした男性 思い出探し「娘の携帯」に涙 「皆さんのおかげです」
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地震から40日目を迎えた石川県輪島市。楠健二さん(55)は9日も、倒壊した自宅を訪れていました。
妻と娘を亡くした楠健二さん(55)
「みんなにはゴミにしか見えないけど、やっぱり見ると一個一個に思い出がある」
妻・由香利さん(48)と長女の珠蘭(じゅら)さん(当時19)を亡くし、2人との“思い出”を見つけては持ち帰る日々が続いています。そして2日前の7日、“特に見つけたい”と願っていたものの1つが、見つかりました。
楠健二さん
「これが時計です」
去年の誕生日に妻・由香利さんがプレゼントしてくれた腕時計。
楠健二さん
「俺、時間守らないから『時間守ってね』って感じだと。見ると全て思い出してしまう。しばらくはつけられない。あとは娘の携帯がないので」
その後も懸命に探し続け、今夜ついに、長女・珠蘭さんの携帯が見つかりました。
楠健二さん
「探していた携帯ですね。そんなに壊れていないような気がする」
「これで次の一歩進めるかどうか、ちょっとわからないけど」
「皆さんのおかげです、本当に。1人じゃ絶対に見つからなかった。これだけ見つけてくれて本当によかったです。帰ろう」
2人の法要を執り行うため、いったん輪島市を離れる楠さん。また必ず“思い出”を探しに戻るということです。
中島芽生キャスター
「九段さんは、石川県に住んでいらっしゃったことがあるんですよね」
作家・九段理江さん(33)
「はい。24歳ごろから3年間ほど住んでおりました。石川の方たち、本当に温かくて、いやな方に出会ったことがありません。まずは被災された皆さまが、早く日常を取り戻されることを願っております」
中島キャスター
「知り合いの方で被災された方の状況は、どうでしょうか」
九段さん
「大きな被害を受けたという話は聞いていないのですが、逆に先月、芥川賞が決まった際にお世話になった皆さまから『勇気をもらった』などとメッセージをいただきまして、それがとても嬉しかったです」
中島キャスター
「どのような支援が、これから望ましいと感じていらっしゃいますか?」
九段さん
「つい我慢してしまう、本当に必要な助けを声に出せない方も、たくさんいらっしゃるのではないかと思っております。被災された方々の思いを、丁寧に聞き取ることが、大事なんじゃないかなと思っております」
中島キャスター
「聞き取ったうえで支援につなげていくことが大切ですね」
(『news zero』より)