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「なんか…言葉にならない」羽生結弦さんが3年前の集中豪雨の被災地・熊本へ【羽生結弦 伝えたい思い】

2023年7月6日 19:55
news every.のスペシャルメッセンジャー羽生結弦さんと災害や防災について考える「羽生結弦 伝えたい思い」。2回目の今回は、3年前の熊本豪雨の被災地に羽生さんが訪れ、避難した方々に話を聞きました。

◇◇◇

ことし5月、熊本県の人吉市や球磨村を流れる球磨川を羽生さんが訪れました。球磨川は3年前の豪雨で川が氾濫。大きな被害が出ました。

羽生さん
「本当はこんなに穏やかなんだなって思って、この風景からは考えられない」

川の近くの電柱には、3年前の豪雨で浸水した水位が記されていました。

羽生さん
「こんなにあるんだ・・・」

この辺りは3.8メートル、水につかりました。

羽生さん
「なんか・・・言葉にならない」

鉄道の駅にも大きな被害が。

羽生さん
「そのまんまだ・・・倒れたままだし草も絡んでいてそのまま取り残されている感じがある」

水害でなぎ倒されたホームの柱。爪痕が色濃く残っていました。
鉄道は復旧の見通しはまだたっていません。

◇◇◇

2020年7月4日の熊本豪雨。

NNN取材団 神崎慎治
「見渡す限り水没しているのが分かります」

熊本県では住宅約4600棟が全半壊し、災害関連死含む67人が亡くなりました。

ことし5月、球磨村の自宅が全壊し、高台に移転した女性を羽生さんが訪ねました。

羽生さん
「こんにちは、初めまして羽生です。よろしくお願いします」

中神ゆみ子さん
「いやぁ~どうしよう。」

羽生さん
「どうもしなくて大丈夫ですよ」

少し緊張気味の中神ゆみ子さん。

あの日の様子を写真で記録したアルバムを見せてくれました。

中神さん
「涙が出る・・・これが水害にあった時の写真」

中神さんは高台から、自宅が浸水していく様子を見ていたといいます。

水は、自宅の1階から2階へ。ついには見えなくなりました。

中神さん
「だんだん水があがってきて本当にあっという間、まさか自分の家が流れるとは思わなかった」

当時の映像には、一人暮らしの中神さんの自宅は枠組みだけが残っているのが見えます。生まれ育ち、思い出のたくさんつまった、我が家。

中神さん
「水が引いた後はこんな状態。たまらなかった。家がなくなっている。こんなにつらいことはなかった。1年間泣いてばかりいた、涙がこんなに出るのかというくらい」

生活用品や家族の思い出の品々も全て流されました。

当時のスケジュール帳には“何もかも思い出が流された日”

中神さん
「車と自分の命だけ。大切なものは全て流してしまった」

羽生さん
「そこにある思い出も含めて大切というのはすごく気持ちとして分かる。なくなってしまったものは戻らないし。そこがつらいですね」

水害前、中神さんが住んでいた集落を案内してもらいました。

羽生さん
「家の痕跡が見えなくなっている」

中神さん
「そうです、もうブロックだけです残っているのは」

以前立ち並んでいた住宅は全てなくなり基礎が残るだけ。それでも・・・。

中神さん
「犠牲者になる人がいなかったのは皆さん本当にびっくりしている」

未曾有の水害で犠牲者はゼロ。命を守ったヒントがありました。

◇◇◇

3年前の熊本豪雨で自宅が流された中神さん。

中神さんが住んでいた集落は球磨川に隣接。浸水でほとんどの民家が被害にあいました。それでも、犠牲者は出なかったのです。

そのわけを、村で水害の語り部をしている山口敏章さんに聞きました。

山口さん  
「今までに経験したことがないような雨。すぐに避難しないといけない高台に避難してくださいと」

山口さんは近所の人々に高台への避難を呼びかけ。浸水前にほとんどの人がこちらの高台に避難をしたため犠牲者が出なかったのです。

それは、川とともに生きてきた球磨村の知恵でした。

山口さん
「(川は)生活する上でなくてはならない。今からも共存していかないといけない」

過去にも水害に見舞われた球磨村では、以前から防災に力を入れてきました。公民館にはハザードマップがあり、地域の危険な場所を確認できます。

羽生さん
「こういう風に色で分けてもらえると分かりやすいですね」

村では、あらかじめ災害を想定した防災行動を時系列で計画。年に一度、全村民を対象に避難訓練などを行っています。

多くの人々の命を救った“避難”。川と共存してきた人々から、伝えたい思い。

山口さん
「どういう状況で避難するかを家族で共有し地域で共有しながら訓練を重ねることが一番重要じゃないかなと思います」

中神さん
「命を守る行動というのは本当に自分の命を守っていれば大丈夫。それだけですよね」

 ◇◇◇

羽生さん
「中神さんが住んでいた地区は、堤防ができるため住むことができないと言っていました。3.11の時もそうでしたが、中神さんも『コミュニティーがばらばらになって寂しい思いをしている』と言っていました」

藤井キャスター
「水害から5日で3年となりましたが、球磨川流域では10の橋が流失し、そのうち、復旧や仮の橋ができたのは、まだ4つだけだということです。また、球磨村では建物の35%が被災し、5月末の時点で仮設住宅に309人が暮らしています」

羽生さん
「まだまだ復興は道半ばだと感じています。支援が必要だと感じました」

藤井キャスター
「一方、避難という教訓もありましたね」

羽生さん
「はい。水害はきちんと備えれば命を守れることを実感しました。ちゃんと考えて生き抜いていくべきだと思いました。ただ、実際にどう避難すれば良いか把握している人は、僕も含めて、そんなにいないと考えています」

藤井キャスター
「実は今回、具体的にどう命を守るのか。自分のいるエリアは安全なのか危険なのか、『ハザードマップ』で実際に確認をしてみたいと思います。羽生さん、インターネットサイト『重ねるハザードマップ』に日本テレビの住所を入力してください」

羽生さん
「はい」

藤井キャスター
「画面には、日本テレビの社屋がある場所に旗が立っています。続いて、『洪水』というマークを選択してください」

羽生さん
「はい」

藤井キャスター
「すると、旗が立っている日本テレビの社屋のまわりにピンク色や黄色の色づけがされました。これは洪水の『危険度』を表しています。羽生さん、日本テレビはどうですか?」

羽生さん
「色がついていないですね」

藤井キャスター
「そうなんです。日本テレビのまわりは色がついていません。では、『洪水』を1回外して、『高潮』を選択してください。すると、日本テレビの辺りはどうなりましたか?」

羽生さん
「(色がついて)こちらは台風だとか、そういった時には浸水の可能性があるということですね」

藤井キャスター
「そうなんです。海が近いということで高潮による浸水もあるということです。危険が迫る前に色がついていない安全な場所に避難することが大切です。近くに避難所や公民館があれば、そこに避難してもらいたいですが、そういった場所がなければ、頑丈な鉄筋のホテルであるとか、知り合いの家でもかまいません。万が一、すでに浸水していた場合には、自宅での垂直避難も選択してください。鉄筋など、なるべく頑丈な建物の高い階に避難をしてください」

羽生さん
「災害が起きる前に、前もって自分たちがどこに避難するか考えておく必要がありますね」

藤井キャスター
「はい。避難するタイミングも重要です。警戒レベル『5:緊急安全確保』は、すでに災害が発生・切迫している状況で、命の危険がある状況です。このレベル5になる前に避難することが大切です。警戒レベルというのは、テレビやスマートフォンの防災アプリなどでも確認できます」

羽生さん
「自分でも情報を集めることが大切だと思います。皆さんも、この機会にハザードマップやアプリをチェックして、避難の仕方を考えてみてください。実際には被害は出ないかもしれませんが、『たとえ空振りになったとしても、避難することが大切だ』と熊本の方々は話していました。僕も調べたいと思います」

藤井キャスター
「現在、九州で多くの雨、雨量を観測しています。熊本豪雨はまだ復興途中ですが、被災地の支援は募金、そして『ふるさと納税』などでもすることができます。やはり、災害復興にはお金が必要になります。『羽生結弦 伝えたい思い』、羽生さんには年に数回ご出演いただきます。羽生さん、今回ありがとうございました」

羽生さん
「ありがとうございました」