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【解説】能登半島地震 「災害関連死」防ぐには…“2次避難”への壁【バンキシャ!】

2024年1月15日 9:10
【解説】能登半島地震 「災害関連死」防ぐには…“2次避難”への壁【バンキシャ!】
能登半島地震の発生から15日で2週間。いま重要なのは、厳しい避難生活などが原因で亡くなる災害関連死を防ぐこと。そのために呼びかけられているのが、いわゆる“2次避難”。その重要性と被災地ならではの課題などについて、関西大学の奥村与志弘教授に聞きました。(真相報道バンキシャ!

能登半島地震の発生から15日で2週間。今、重要なのは、厳しい避難生活などが原因で亡くなるいわゆる「災害関連死」を防ぐことです。そのために呼びかけられているのが「2次避難」です。

「2次避難」とは、被災地の避難所「1次避難所」から、被災地以外にあるホテルや旅館といった宿泊施設などに避難することです。今回だと、金沢などに移動するケースが多いとみられています。

病気の方や高齢者、妊婦さんなどが最優先で、石川県は1日あたりおよそ2万8千人分の宿泊施設などを準備し、14日までにおよそ800人が避難しています。

1次避難所では、厳しい寒さや感染症などが心配されていて、国は命を守るために「2次避難を積極的に検討してほしい」と呼びかけています。

今回の地震では、この呼びかけが特に強いように感じられるその理由は何なのか。災害関連死に詳しい関西大学の奥村与志弘教授によると、能登半島が支援が入りにくい場所だということがあるそうです。

能登半島は、海に囲まれているため陸路での移動が限られています。また、医療体制も都市部に比べて弱い地域です。そこに、大地震が襲って道路状況が大幅に悪化したため、今、医療などの支援が非常に届きにくい状況になってしまっているということです。

2016年に起きた熊本地震の際には、発災から1、2週間で物流が回復し、支援する側も被災地に十分入れていました。ただ、今回能登半島の状況は、今も厳しいままとなっています。

桝太一キャスター
「先週、被災地へ取材に入りましたが、山の間を縫うように細い道が通っていて、今は復旧して開通していても、また余震や天候悪化でもう一度寸断されてしまうリスクがあると感じました」

奥村教授は、支援が滞ってしまう可能性があるところから出る2次避難も大切だと話しています。能登半島地震での災害関連死は、14日までに分かっているだけで13人。奥村教授は、強い危機感をもっているといいます。

関西大・奥村教授
「もっと関連死は少ない状況で抑えられるはずだと当初考えていたが、非常に高い死亡率になってしまっているのではないか」

「ここから先の関連死は、多くは70歳以上の高齢者。まだまだ数週間、関連死が発生してしまう状況が続くと思う」

奥村教授は、被災者が少しでも安心して2次避難ができるよう、2つの対応を県が取ることが重要だといいます。

県に求められる対応の1つ目は、いつ戻れるのか見通しを示すこと。そして、2つ目は、2次避難した方が離れていても地元の情報をスムーズに入手できるようにすることです。

──2次避難をするという判断がなかなかできない人もいると思います。そういう方が災害関連死のリスクを下げるためにできることはあるでしょうか?

奥村教授によりますと、1次避難所でできる基本的なことをまずは意識するだけでも違うといいます。例えば、しっかり「水を飲む」ということ。水を飲めば、脱水症状を防ぎ、エコノミークラス症候群を防ぐことにつながります。

また「トイレに行く」ということも大切です。避難所では必ずしも衛生環境が良くないかもしれませんが、トイレに行かないと、便秘気味になり、食欲が落ちたり、体力・免疫力が低下したりします。コロナやインフルエンザに感染しやすくなるというリスクもあるということです。

(1月14日放送『真相報道バンキシャ!』より)

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