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宝塚歌劇団員死亡 遺族側が訴えた「パワハラ」「長時間労働」の中身……弁護士「過剰な“縦の絆”」指摘 宝塚側はトラブル否定

2023年11月11日 13:12

宝塚歌劇団の25歳の女性が亡くなった問題で10日、遺族の代理人弁護士が会見。1か月休みがなく、1日20時間以上働いた日もあったと明かし、「うそつき野郎!」などと上級生から暴言を受けていたとも訴えました。歌劇団側はトラブルを否定しています。

■入団7年目で「宙組」所属、舞台にも

「約1か月半、わずか1日3時間程度の睡眠しか取れない状況が続き、加えて上級生のパワハラもあり、健康を損なって亡くなった」

25歳で亡くなった宝塚歌劇団員の遺族の代理人弁護士は、会見でこう話しました。今年9月、宝塚歌劇団に所属する25歳の女性の遺体が、兵庫・宝塚市にあるマンションの敷地内で見つかりました。現場の状況から、警察は自殺の可能性が高いとみています。

「清く正しく美しく」。宝塚歌劇団は来年で110周年を迎えます。女性は入団7年目で「宙組」に所属し、舞台にも上がっていました。

■遺族がコメント「何もかも奪われた」

会見では、遺族の胸の内が明かされました。

「娘の笑顔が大好きでした。その笑顔に私たちは癒やされ、励まされ、幸せをもらってきました。けれど、その笑顔は日に日に無くなっていき、あの日、変わり果てた姿となり二度と見ることが出来なくなってしまいました」

「くりくり動く大きな瞳も、柔らかい頬も、いとおしい声も、何もかも私たちから奪われてしまいました」

一体何があったのでしょうか。

■遺族側が訴える「長時間労働」の実態

亡くなった理由として代理人弁護士が指摘した1つが、長時間労働です。

遺族の代理人弁護士
「入団7年目というのが、下級生の中の一番の上の学年にあたりまして、大変重要な責任。下級生のまとめ役、責任者としていろんな下級生のまとめをしなければいけないということで、とても大変だった」

弁護士が作成した、女性が亡くなる直前の1か月間の労働時間を記録した資料。それによると、1日の労働時間が14時間となっている日がずらりと並んでいました。中には「20時間35分」も。1日24時間にもかかわらず、そのほとんどを仕事に費やした日もありました。

この資料を見ると、休みは1日もありませんでした。

■睡眠は午前3時~6時 休日も仕事

1日のスケジュールについても示されました。

女性は朝8時半ごろに劇団に入ると、午前9時ごろから日付が変わる午前0時ごろまで約15時間、びっしり稽古を行っていたといいます。自宅に帰れるのは午前0時半ごろ。

その後も書面作成などの業務を行い、寝られるのは午前3時ごろから6時ごろまでの約3時間だけでした。こうした生活が1か月ほど続いていたそうです。

亡くなる前月の8月には、6日ほどの休みがあったといいます。この休日について、弁護士は「公演で使用する化粧品・衣装などの買い物をする。さらには、新人公演のための書き物とか新人公演の演出家との連絡なども普段と同様に行っていた」と説明しました。

休日も朝から夜まで働いていたといいます。

■劇団の生徒手帳に書かれた「縦の絆」

会見の最中、弁護士が「これがご本人の持っていらっしゃった生徒手帳です」と示しました。そこには「上級生、下級生とは縦の絆」と書かれています。

弁護士は「このような事態に至った背景の1つには、劇団の縦の関係の過剰なまでの重視(がある)。縦の関係が徹底されて、パワハラと言うべき様々な暴言・発言を繰り返していた」と指摘しました。

亡くなったもう1つの理由として指摘されたのは、上級生からのパワハラです。

一昨年、稽古中に上級生から「前髪を巻いてあげる」と言われた女性。ヘアアイロンを額に当てられ、やけどをしたといいます。

亡くなる直前の9月下旬には、「下級生の失敗は全てあんたのせいや」「マインドが足りない。マインドがないのか!」「うそつき野郎!」といった心ない暴言も受けていたと、遺族側は訴えました。

■劇団側はいじめやトラブルを否定

こうしたパワハラの疑いに対し、劇団側は女性が亡くなった1週間後の10月7日、会見を開いていました。

渡辺裕・宝塚歌劇団企画室長
「今、劇団としましてはいじめという事案があるというふうには考えてはおりません。ただ、劇団としての調査・ヒアリングによる判断なので、きちんとそこを第三者の立場で外部から調べてもらおうと」

「いじめはない」としましたが、外部の弁護士らによる調査チームを立ち上げたことを発表しました。

渡辺室長はまた、ヘアアイロンについては「被害者も加害者もおりません」と強調。トラブルを否定していました。

「両者に、また周囲の人々にちゃんとヒアリングを重ねておりまして、その結果、誤ってそれが当たってしまったということはございましたが、長くとか、そういったことに関しては否定させていただきます」

「ヒアリングの結果、本人たちも『そんなことはなかった』と」

■「見て見ぬふりしてきた」…遺族の思い

遺族は、劇団と劇団を運営する阪急電鉄に、事実を認めた上で謝罪と適切な補償を求めています。発表したコメントでは、その思いを吐露しました。

「心身共に疲れ果てた様子の娘に何度も『そんな所へ行かなくていい、もう辞めたらいい』と止めましたが、娘は『そんなことをしたら上級生に何を言われるか、何をされるかわからない、そんなことをしたらもう怖くて劇団には一生行けない』と涙を流しながら必死に訴えてきました」

「見て見ぬふりをしてきた劇団が、その責任を認め謝罪すること、そして指導などという言葉では言い逃れ出来ないパワハラを行った上級生がその責任を認め謝罪することを求めます」

■ファン「真実が分かってほしい」

遺族側の会見と同じころ、都内の東京宝塚劇場で行われていた公演を見た宝塚ファンに聞きました。

ファン歴約10年
「何が事実なのか私たちはちょっと分からないんですけど、率直に悲しいというか残念というか。真実が分かってほしい」

ファン歴約15年
「皆様にも元気に楽しく舞台に立っていただきたいので、そういう環境が整ったらいいなと思っています」

会見後、宝塚歌劇団は「大変重く受け止めており、ご遺族に対して誠実に対応してまいりたいと思っております。今後、外部弁護士による調査結果を踏まえて、真摯(しんし)に対応してまいる所存です」とするコメントを発表しました。

また、劇団を運営する阪急電鉄は「阪急電鉄としても大変重く受け止めています」とコメントしています。

(11月10日『news zero』より)