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対局は佳境に…夢の「八冠」達成なるか? “ミスをしない男”藤井七冠 プライベートでも“仲良し”の永瀬王座とは…  【#みんなのギモン】

2023年10月11日 19:08
対局は佳境に…夢の「八冠」達成なるか? “ミスをしない男”藤井七冠 プライベートでも“仲良し”の永瀬王座とは…  【#みんなのギモン】

11日夕方、将棋の藤井聡太七冠(21)が勝てば「八大タイトル独占」という対局が行われています。いまだ将棋界で誰も達成したことのない「八冠」です。

運命の一戦は、この日の午前9時に始まりました。対局が始まる15分前、永瀬拓矢王座(31)が待つ対局室に、挑戦者の藤井七冠が一礼して入りました。将棋の「王座戦五番勝負」の第4局は、京都市のウェスティン都ホテルで行われています。

持ち時間はそれぞれ5時間。勝負は、夜には決まる見通しです。将棋ファンのみならずとも、目が離せない対局といえます。

●「八冠」どれだけすごい?
●「ミスしない男」とは?

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■どれだけすごい? 藤井七冠の「八冠」への道

現在、将棋界に8つのタイトルがあります。藤井さんが獲得する直前のタイトルホルダーとして、渡辺明さん、木村一基さん、豊島将之さんと、並み居る強豪たちが待ち構えていたところに…

藤井さんがまず「棋聖」を、史上初・史上最年少の17歳11か月で獲得します。続いて18歳で「王位」、19歳で「叡王」「竜王」「王将」を獲得しました。

そして20歳のときに「棋王」。さらに20歳で「名人」の称号を史上最年少で獲得して、これで「七冠」となりました。残るは、永瀬拓矢さんが持つ「王座」のみとなっています。

■8つのタイトル独占なら史上初、歴史的な瞬間に…

ちなみに、将棋界のタイトル独占の記録を見てみると、1996年に当時25歳の羽生善治さんが「七冠」の快挙を達成し、非常に大きなニュースとなりました。当時は「叡王」のタイトルがなく七冠で独占でした。

藤井さんが初めて「八冠」を独占すれば、それは史上初、歴史的な瞬間になります。

■王座戦「五番勝負」とは? タイトル奪取まであと1勝に迫る

将棋界のタイトルでは竜王戦や名人戦が「七番勝負」「2日間で1局」の“長期決戦”です。一方、この王座戦は“短期決戦”と言われている「五番勝負」で「1日1局」、その日のうちに勝敗が決まります。

五番勝負ですから「3勝で勝利」ですが、ここまで第1局は永瀬王座が勝ち、第2局と第3局は藤井七冠が取り返して、藤井七冠は2勝1敗です。タイトル奪取までは、あと1勝に迫っている状況です。

■待ち構える永瀬王座とは… 実は仲良し「研究相手」

藤井七冠の前に立ちはだかる永瀬王座も、あらためて気になる存在です。

現在王座の永瀬拓矢さんは、31歳。ここ4年間「4期連続」で王座のタイトルを守っています。今回防衛し5連覇を果たすと「名誉王座」という資格を手にすることができます。

その永瀬さんと藤井さんは、将棋の「研究仲間」としても知られています。藤井さんが14歳でプロになったころから永瀬さんは練習相手も務め、お互いを高め合ってきました。

その永瀬さんのお父さんが経営しているのが、神奈川県川崎市にある「ラーメンショップ川崎家」という家系ラーメンの店です。店長の斉藤真一さんによると「(2人はプライベートでも)仲良し。永瀬王座が名古屋に行くと一緒に対局しているそう」だということで、いい関係の2人がいま、争っているわけです。

この頂上対決、お互いの攻守をすべてわかっている2人の勝敗を決めるということで、まさに実力も、運も必要なのだと感じます。

どちらも負けられない戦いですが、藤井七冠が「八冠」を達成する可能性はどのくらいなのでしょうか?

■グラフでわかる“ミスしない男”の圧倒的すごさ 大学が研究対象にするほど

これは電気通信大学の伊藤毅志教授らが数値化した藤井七冠の「棋力」、将棋の強さを表すグラフです。藤井七冠があまりに強すぎるので、どうしてここまで強いのか、大学の研究者たちの「研究対象」になっているのです。

伊藤教授らは、1985年度から約2万5000局を分析しました。どう分析したのかというと、人間の1手1手を「AI=人工知能」の手と比較しました。

どんな局面でも最善の手を打てるAIと比べて、人間はどれだけより劣る手を打ったか。これを「平均損失」といって、まずい手を打った数値を「マイナス」で示しています。

すると、すべての棋士の平均が約「マイナス60」で、タイトルを争う一流棋士たちですら「マイナス50から45」の間です。対して、藤井七冠は「マイナス30」と驚くべき数字に。

研究した伊藤教授によると「飛び抜けた数値」です。終盤の追い込まれた場面でも、藤井七冠がミスをしない確率「失敗しない確率が非常に高い」ことを示している、というのです。

あえてたとえるなら「ラグビーのペナルティーキックをずっと決め続ける」ようなもの。中盤・終盤でのミスが“劇的に少ない”ことが、このグラフからわかるといいます。

グラフからは、藤井七冠の毎年の安定感もわかります。

■第4局は…永瀬王座が優勢か 藤井七冠は持ち時間を消費

運命の王座戦は佳境に入っていると思います。午後4時半時点での戦況を、会場の京都から伝えてもらいましょう。

日本テレビ将棋担当・内田慧記者
「現在、王座戦第4局が行われています。形勢は判然としないところですが、藤井七冠は序盤からかなり持ち時間を消費していて、5時間の持ち時間のうち残り50分ほどとなっています。対する永瀬王座は2時間半ほど。こういったところがこれからの終盤戦にどのように影響するか注目が集まっています」

――いまはどちらが優勢なのか?

将棋担当・内田記者
「どちらかというと永瀬王座がこれからどう勝利に近づくか、考えているのではないかと思われます」

――お互いを知り合っている2人なだけに、このあとも難しい戦いになるのでは?

将棋担当・内田記者
「お互いに手の内を知り合った仲の2人の戦いには、史上初となる『八冠』が、ふさわしい舞台となるのではないでしょうか」

永瀬王座も本当に強い棋士です。藤井七冠と永瀬王座が、将棋界を盛り上げてくれるというところに注目して、対局を見たいものです。

   ◇

歴史的な八冠の瞬間、私たちは立ち会うことができるのでしょうか。勝負は11日の夜に決する見通しです。以上、「みんなのギモン」でした。

(2023年10月11日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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