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東京23区東部中心に浸水想定…高潮から都心を守る

2022年10月22日 18:58
東京23区東部中心に浸水想定…高潮から都心を守る

東京23区には東部を中心に高潮による浸水が想定される場所があります。猛烈な台風などで起こる高潮から都心を守る対策とは?

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東京・江東区にある辰巳水門。この日行われていたのは、水門の定期運転です。操作が行われていたのは、辰巳水門にほど近い東京都の「高潮対策センター」。臨海部にある15か所の水門を24時間監視、遠隔操作する水門の“司令塔”です。

東京都高潮対策センター・堀川誠司所長「東京は東京湾の奥にあって、地盤が低い場所もありますので、高潮の影響を受けやすい地形となっています」

これらの水門は、街を守る重要な役割を果たしているのです。

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大量の海水が陸地に流れ込む「高潮」。ひとたび起きると大災害につながります。

この高潮、台風が接近すると気圧が下がり海面が上昇。そこに強い風が吹き海水が海岸に吹き寄せられることで発生します。東京は、過去幾度となく高潮に見舞われてきました。

江東区にある「波除碑(なみよけのひ)」。江戸時代に起きた高潮被害をきっかけに幕府が周辺一帯を買い上げ、家を造ることを禁じた時のしるしです。さらに、大正、昭和にも台風による高潮で甚大な被害を受けた東京。

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なぜ東京に高潮の危険があるのでしょうか?東京の東側は「東部低地帯」と呼ばれ、濃い青色で示した地域は平常時でも海面より低くなっています。

このため、最悪の台風が東京を襲った場合、高潮によって江東区などでは5メートル以上浸水する想定に。

都は低地帯を高潮から守るため、防潮堤などの整備を進めてきましたが、近年、その効果が発揮されています。

2017年の台風21号です。高潮で隅田川の水位が上昇。しかし、川沿いの防潮堤により浸水被害を防ぐことができたといいます。実はここにも―。

東京都港湾局・枡山了太課長「水際の遊歩道から土手の上の20メートルくらいが、高潮や津波を防ぐための防潮堤となります」

防潮堤を歩くとあることに気がつきました。

記者「(豊洲)市場が見えないくらい高い」
東京都港湾局・枡山了太課長「そこの土手の上まで水が来てもいい想定になっています」

この遊歩道や芝生も防潮堤の一部です。伊勢湾台風級の高潮にも対応できる防潮堤を整備してきた東京都。

東京都港湾局・枡山了太課長「水門とか防潮堤の耐震対策を中心に整備を進めてきました。地震で壊れてしまうと高潮も防げませんので」

都では大地震と高潮が同時で起こるような最悪のケースにも備えています。

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しかし、さらに厳しいシナリオも―。

高潮・津波対策に詳しい早稲田大学・柴山知也教授「台風の勢力がこれまでよりもずっと強くなるということで、未経験の事例が発生する可能性があります。東京の臨海部は埋め立てによって生じた複雑な水路によって高潮の挙動が複雑になることが予想できる。船とかコンテナが高潮で流されて防潮堤に衝突することも考えられます」

柴山教授は高潮によって、1週間以上水がひかない地域があるため、自宅に水や食料を備蓄することが重要だといいますが―。

早稲田大学・柴山知也教授「非常に大切なのはトイレが使えませんので簡易トイレを備蓄しておくことが非常に重要な備えになります」

東京での高潮のリスクを知り備えることが大切です。