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火災なぜ拡大…輪島の朝市 現地調査した日本火災学会のメンバーに聞く 【#みんなのギモン】

2024年1月11日 22:37
火災なぜ拡大…輪島の朝市 現地調査した日本火災学会のメンバーに聞く 【#みんなのギモン】

徳島えりかキャスター
「11日のギモンは『輪島朝市 火災なぜ拡大』です。輪島市の観光名所で起きた大規模な火災は、なぜ拡大したのでしょうか。現地を調査した日本火災学会のメンバーで東京大学の廣井悠教授とお伝えします。よろしくお願いします」

日本火災学会メンバー・現地を調査 東京大学 廣井悠教授
「よろしくお願いします」

徳島キャスター
「まず、火災現場では11日も捜索が行われました。大規模な火災が発生した朝市通りがある地域では、11日も一斉捜索が行われました。石川県内の死者は213人。安否不明者は37人でそのうち輪島市は33人です(※午後2時時点)。朝市通りのある河井町では10人の安否がわかっていません」

藤井貴彦キャスター
「私も火災現場を取材したんですが、なかなか消火活動ができていないように見えたんですが、あれだけ広がってしまった原因はなんだったんでしょうか?」

廣井教授
「そもそも、この焼失エリアが木造密集地域で特に古い建物がたくさん残っていたというのが、1つ原因と考えられます。それからもう1つが地震、津波によって消火活動がなかなかできなかった。この2つが大きな原因ではないかと考えています」

徳島キャスター
「改めて11日のポイントを整理していきます。『初期消火 難しかった理由』『住宅密集地 全国各地に』です」

「まずは、どういった場所で火災が起きたのかを見ていきます。輪島市の火災現場を国土地理院が撮影した写真によると、朝市通りの周辺、約4万8000平方メートルが焼失したとみられています。火災が起きる前は店舗や住宅などが密集していて、こうした建物の約200棟が全焼しました。なぜ広範囲にわたる火災になってしまったのか。初期消火ができなかった要因を廣井先生とみていきます」

■なぜ火災が拡大? 3つの要因

徳島キャスター
「1つ目は、プロパンガスに引火したことで爆発的な火災が起こり、現場は古い木造家屋や店舗が密集する地域だったため、一気に火が燃え広がった可能性があるということです。今月1日に火災を上空からとらえた映像には、爆発と思われる瞬間がとらえられていました。廣井教授、これはどうでしょうか?」

廣井教授
「おそらくプロパンガス(の爆発)の可能性が高いのではないかというふうに考えられます。危険物としては灯油タンクだとか、あるいは車だとかさまざまなものが考えられますが、住民に聞いたところ、この地域は都市ガスではなくてプロパンガスを使用している人が多かったということと、現場では燃え焦げたプロパンガスボンベが複数、見つかりましたので、プロパンガスの可能性が高いのではないかとみています」

徳島キャスター
「では2つめのポイントをみていきます。大津波警報が出されたことで住民が避難せざるを得なかったため、住民による消火活動ができなかったこと。そして3つ目は、消防が消火活動に使う水が、断水や津波の影響で確保できなかった。こうした点が上げられるということですが、廣井教授、現地を調査してどうだったでしょうか」

廣井教授
「断水で消火栓が使えなかったとかですね、そういう場合は、これは地震時よくある話なんです。なので、防火水槽などを使うんですが、防火水槽も電柱が倒れたりして、それで一部の防火水槽が使えなかったと。それからあと、川の水ですよね。津波の影響なのか隆起の影響なのかはわかりませんけど、川から自然水利として取水ができなかった。あるいは、大津波警報が出ていますので、海の水を使うことは非常に危険ですので、それもできなかったということで、なかなか水が使えなかった、消火用水を確保できなかったというのが1つの原因ではないかと思います」

藤井キャスター
「実際に都内で起きた火災でもそばにプールがあって、プールの水を利用して消火をしたという例もありましたけど、そのまわりの水が使えないという状況があったということですね」

徳島キャスター
「そして、大津波警報が出ている中での避難について、住民からはこうした声も聞かれました」

住民
「大津波警報だったのでとりあえず避難しようって。火が出ているといっていたが戻れないので、携帯とか持つだけでとりあえず出てしまったんで」

「地震の時は着の身着のままで、飛んで家を出ましたので」

市來玲奈キャスター
「廣井教授、住民のみなさんはとりあえず避難したということでしたけれども、こういった大津波警報が出ている時は、まず避難をすることが最優先ですよね」

廣井教授
「そうですね、実際に輪島市で津波が観測されていますので、命が最優先で避難をするというのはどうしようもなかった部分が大きいと思います。ただ、これがなければですね、今までの地震火災ですと、だいたい初期消火の2割ぐらいが住民や自衛消防の人がしています。なので、津波さえなければもしかしたら消火できたのかなという感じですね」

■都内にも木造建物の密集地 直下型地震で火災による被害想定は11万2232棟

徳島キャスター
「続いてのポイント『住宅密集地 全国各地』をみていきます。こうした住宅が密集する地域は全国各地にあって、どこでも起こりうることです。例えば東京都内でも古い木造建物が集まる地域があります。東京都が発表した首都直下地震で、火災による物的被害の想定は11万2232棟となっています。そして、焼失する数が100棟を超える場所と想定されているのが、23区の東側の足立区や江戸川区などで、西側でも世田谷区や大田区などで火災による被害が甚大になると想定されています」

刈川くるみキャスター
「怖いですよね。廣井教授、初期消火ということで住民が消火に当たるべきか、広がってしまったら諦めるべきか、そのあたりは状況によると思うのですがどう対応していけばいいのでしょうか?」

廣井教授
「まさに状況によりますよね。同時多発でまわりにたくさん火災が発生していたら、やはり命のことを考えて早めに避難する。ただ諦めが早すぎると消火のチャンスがないわけですから、被害が広がってしまうということになります」

「重要なのは常備消防、公設消防、消防隊の消火がなかなか追いつかないんですよね。例えば、運悪く冬の夕方とかに火災や大きな地震が発生すると、何百軒も出火すると予想されています。そうなるとなかなかポンプ車の数が足りないと。今回、輪島では1軒からの火災でここまで燃えてしまいました。そういった意味では、初期消火をきちんとするだけではなくて、火災に強い建物に建て替えるとか、出火防止対策をきちんとすることが、とても重要なのではないかと思います」

藤井キャスター
「復旧の上ではそういうことも考えてやらなければならないということですが、まだそのフェーズにはないかもしれないですね」

徳島キャスター
「そうですね。今後、考えていきたいところです」

■通電火災 停電からの復旧時に注意!

徳島キャスター
「そして被災地では、今後も火災のリスクがあります。11日午後4時現在、能登半島北部では1万3000件以上の停電が続いていますが、停電が復旧した際には『通電火災』に注意が必要です。通電火災とは、電気が再び流れた時に起きる火災で、例えば地震の落下物で電気コードが切れていると発火することがあります。こうしたことを防ぐためには、ブレーカーを切っておくことが大切です。一方でそのために今、避難所から自宅に戻るなどというのは違った危険を伴いますので行わないようにしてください」

藤井キャスター
「廣井教授、この通電火災を防ぐためにはブレーカーが落ちていることが大切だと思いますけれども、通電する時に、みなさん避難所がバラバラになっていますので、住民のみなさんに伝えるわけにはいかないですよね。この点はどうしたらいいんでしょうか?」

廣井教授
「なかなか一人ひとり確認して通電を確認するというのは復旧を遅らせる要因にもなりますよね。そういった意味では感震ブレーカーのような、揺れを感知して自動でブレーカーが落ちるような出火防止対策を組み合わせる必要があるのではないかと思います」

藤井キャスター
「今後の復旧がどのように進んでいくのか、1つ目指していくべきところですが、火災に強いまちづくりをしておくというのも今後、必要なのかもしれませんね」

(2024年1月11日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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