深刻な海洋ゴミ問題 死んだコアホウドリから大量のゴム手袋 鉄くずも…海中の清掃で見えた現実
海洋ゴミが世界各地で深刻な問題となっています。今月、北海道では衰弱死した「コアホウドリ」からゴム手袋の破片が大量に見つかりました。好物のイカと間違えて、丸のみしたとみられています。日本テレビの水中カメラ班は、ダイバーによる海の中の清掃に同行しました。
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3連休最終日の18日、神奈川・藤沢市の海岸近くではバーベキューを楽しむ大勢の人々の姿が見られました。
ただ、藤沢市内の別の海岸沿いでは、人気のバーベキュースポットにゴミが散乱。ここでは、ゴミの苦情も相次いでいるといいます。
鎌倉市の海岸では、海水浴客が落としたゴミを回収する親子がいました。他にもブルーシートなどを回収。
市民などのボランティアにより、海岸の清掃活動が行われていたのです。
かながわ海岸美化財団 柱本健司さん
「夏場は花火とBBQとか非常に増えるけど、まだまだそうしたゴミも多い」
残暑が厳しい今年、まだ海の利用客が多いこともあり、ゴミの問題に苦労しているといいます。
北海道釧路市では今月1日、海洋ゴミが原因とみられる問題が発生しました。砂浜にいたのは、幼いコアホウドリです。飛びたとうとしますが、なかなか羽ばたけません。衰弱していたため、環境省が救護し研究所で処置したといいます。
猛禽類医学研究所 渡辺有希子獣医師
「酸素を吸ってもらい、栄養補給を少しずつしてもらいながら」
体重は平均の半分ほどで、餌も十分に食べられませんでした。
猛禽類医学研究所 渡辺有希子獣医師
「次の日の夜、死んでしまいました。解剖した結果、胃の中からゴム手袋が詰まった状態で出てきました」
胃から大量のゴム製の手袋の破片が見つかったのです。好物のイカと間違えて、丸のみ。胃から腸につながる部分がふさがり死んだとみられています。
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深刻な海洋ゴミの問題。中でも、海洋プラスチックのゴミは、2050年までに海の魚の量を上回るとも言われています。
16日、静岡・伊東市のビーチで行われたのは、ダイバー40人による海の中の清掃です。日本テレビの水中カメラ班も同行しました。
魚が泳ぐすぐそばをプラスチックのゴミが漂っています。ダイバーが発見したのは針がついた釣り具。ブロックに引っかかった網を引っ張ると、複数のルアー(釣り具)がからまっていました。
さらに大きい鉄くずまでありました。空き缶やバケツも次々と見つかり、ゴミを抱えながら出てきたダイバーは「重たいな…拾いすぎて動けなくなっちゃった」と話していました。
この日、収集したゴミの量は約50キロに達しました。
美しく豊かな静岡の海を未来につなぐ会 事務局長・渡邉眞一郎さん
「誰かの手で片付けない限りはなくならないわけなので、活動の輪をさらに広げていければいいな」
豊かな海を守るためには、待ったなしの対策が求められています。