プラスチックゴミ回収に新たな動き 「油のボトル」「納豆の容器」も店頭で回収へ プラスチックに代わる紙製品も登場
これまで回収していなかったプラスチックゴミを広く回収しようという新たな取り組みが、スーパーなどで始まっています。それを可能にしたのは、ほぼ全てのプラスチックを分子レベルまで分解できる新技術です。また、将来、プラスチックに取って代わるかもしれない、紙で出来た商品も登場しています。
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街の人から相次いだのは、つきないゴミへの悩みです。
30代
「生ゴミとかは流しにあるだけで小バエがきちゃったりする」
20代
「私が(ゴミを)まとめて夫が捨てに行く。燃えるゴミいつなのかわかっていない。自分でまとめてくれて行ってくれたら一番ありがたい」
東京都内にある家庭を訪ねると…
40代
「ゴミを分別して置いてある場所になります」
元々は、調理器具などを収納する部屋ですが、ゴミのBOXなどが所狭しと置かれていました。
40代
「(ゴミを)ため過ぎちゃったんですけど、ゴミ袋が有料なので、いっぱいになってから捨てようと思って」
有料のゴミ袋を節約するため、ゴミがたまってから出していて、プラスチックは2週間ほどストック。古紙は…
40代
「(古紙の回収日の)同じ水曜日でも出せるもの、出せないものあるので、結局たまってしまう状況」
古紙の中でもさらに、茶色い紙と白い紙で分別する必要があり、回収日はそれぞれ2週間に1回しかないといいます。そのため、ゴミが家の中にたまってしまうというのです。
40代
「(ゴミをためて)1週間近くになるとあふれそうなくらいになってくる。見た目も汚い感じ。すごく邪魔くさい」
そんな家庭にうれしい、新たな取り組みが始まっています。
神奈川・横浜市のイトーヨーカドー横浜別所店に設置されていたのは、スーパーなどでよく見かけるリサイクル回収BOXですが…
イトーヨーカ堂サステナビリティ推進部 総括マネジャー・小山遊子さん
「こういったプラスチックがこのボックスにそれぞれ分別して入れていただけます」
この店舗ではこれまで、回収可能なプラスチックは「食品トレー」と「ペットボトル」のみでした。しかし、先週から、「お菓子の袋」や「食用油のボトル」「納豆の容器」などまで店頭で回収。家庭で出たプラスチックゴミを広く回収する実証実験を始めたのです。(※12社による実証実験、12月6日まで)
来店客
「ここに捨てにこられるのは、おうちのゴミ箱がいっぱいにならなくて良い」
回収可能になった裏には、新技術がありました。
リサイクル技術に携わったアールプラスジャパン・横井恒彦代表取締役社長
「化学反応の力を使ったり、分解して再生する技術です」
プラスチック容器には様々な材質が使われているため、リサイクルするには材質に応じた方法をとる必要があり、回収できる容器が限られていました。
しかし、新技術では材質に関係なく、ほぼ全てのプラスチックを分子レベルまで分解が可能になり、再びプラスチックの材料として生まれ変わるといいます。
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将来、プラスチックに取って代わるかもしれない意外な商品も登場しています。埼玉・和光市にある工場で作っていたのは、クシです。
エステック 坂本学代表取締役
「紙のクシになります。プラスチックに負けないくらいの硬さ」
一見、普通の髪をとかすクシですが、紙で出来ているというのです。
毛の部分以外は、紙で出来ている歯ブラシもありました。ただ、気になるのは、やはり強度。水に濡らしてから歯を磨いてみました。
記者
「ふやけることなく、しっかりしたままです」
紙を数枚重ね、約150トンの力で圧縮。そうすることで、水が浸透しづらくなり、5回ほどは継続して使用が可能だといいます。紙の部分は燃えるゴミとして捨てられて、ホテルなどからの問い合わせも増えているということです。来月に発売されます。