震災14年を前に2月末で終了 津波で流された遺留品の展示と持ち主への返還 背景には…
東日本大震災の発生から3月で14年となるのを前に、いわき市では津波で流された遺留品を持ち主へ返す取り組みが終了します。
震災の記憶を伝える資料としても保管を続けてきましたが、月日の経過で遺留品の劣化が進んでいることが背景にあるといいます。
いわき市薄磯地区にある「いわき震災伝承みらい館」です。
■いわき震災伝承みらい館 箱﨑智之副館長
「ランドセルやバッグ、当時の携帯電話など」
2011年に発生した東日本大震災と原発事故の記憶や教訓を伝える施設ですが、その一角に展示されているのが…震災による津波で沿岸部の住宅などから流出した「遺留品」です。
■いわき震災伝承みらい館 箱﨑智之副館長
「全体で5000点ぐらいを保管していまして多くが写真やアルバム、そういった物になります」
並ぶのは、ランドセルに携帯電話。写真や賞状など思い出の品々。施設では3年前から遺留品を展示し、返還する取り組みを進めてきましたが、持ち主に返すことができたのは、50点ほどだといいます。
■いわき震災伝承みらい館 箱﨑智之副館長
「ご自身の物を見つけられたときにこんなの残っていたんだと言ってうれしそうな顔されていた姿が印象に残っています」
ただ、遺留品を返還する取り組みは2月末で終了します。
■いわき震災伝承みらい館 箱﨑智之副館長
「潮に浸かった物なので劣化がだいぶ進んでいる部分ありますけど」
月日の経過とともに遺留品の劣化が進み、施設で保管を続けることが難しくなっているからです。
■いわき震災伝承みらい館 箱﨑智之副館長
「この中から震災の記憶を伝える資料として継続して保管をするもの何点かございますけど、そういった物をのぞきまして地元の慰霊法要の中で一部をお焚き上げするような形で保管を終了する」
遺留品の展示は2月末まで、一部は写真などデータで残し、震災の記憶を伝える資料として保管を続けます。
■いわき震災伝承みらい館 箱﨑智之副館長
「ないだろうなと思うかもしれないんですけど少しでも自分の思い出なるようなものがないかなと思う方がいらっしゃればぜひ足を運んでいただければと思います」