「実態把握はされていない」世間を騒がせているPFAS 私たちの水道水は大丈夫?福島県
私たちが生きるのに欠かせない水道水を巡って全国の一部の自治体では心配なことが起きています。世界レベルで安全と言われている日本の水道水でいま何が起きているのでしょうか。そして、福島県内の水道水は大丈夫なのでしょうか?
取材したのはいわき市にある江東微生物研究所 環境分析センター。ここでは、各地から依頼があった水道水に含まれるさまざまな成分を測定・分析しています。近頃、検査項目として注目されているのが有機フッ素化合物=「PFAS」です。
PFASは、1万種類以上あるとされる有機フッ素化合物の総称のことで、水や油をはじき熱に強い性質からさまざまな工業用品に使われてきました。
ただ環境や健康への悪影響も懸念されていて、そのためPFASのうち「PFOS」と「PFOA」と呼ばれる物質は2009年以降、日本を含む多くの国で製造や輸入が禁止されるようになりました。
ところが…。
■PFAS問題に詳しい 京都大学大学院 原田浩二准教授
「新しく製造されているものはほとんどないが、過去に製造されたものがまだ残っている場所もあると言われている。過去に使用されたものが土壌に残り、地下水や河川に流れると安定な物質なのでいつまでも残っている状況になる」
自然界では分解されず、環境や体内に長く残ることから「永遠の化学物質」ともいわれているPFAS。それが川や水源へ流れることで全国の一部の自治体の水道水では、このPFASが検出されているのです。
■PFAS問題に詳しい 京都大学大学院 原田浩二准教授
「体内の脂質への影響とか、生まれてくる子どもの発育に与える影響、容量が多くなるとがんを引き起こすことが実験動物で分かってきた」
PFASを摂取することによる健康への悪影響については不明な点もまだまだ多いといいますが、国は水道水や環境の水について「暫定目標値」つまり「目安」を設ける対応をとっています。
これまでのところ、福島県内の水道水からこの暫定目標値を超えるPFASが検出された事例はありません。
ただ、水源となりうる河川は事情が違うようです。県によりますと、会津若松市の排水路では、過去に暫定目標値を超えるPFASを検出。飯舘村でも去年11月に行った地下水の検査で、国の目標値の1.5倍にあたる「PFAS」が検出されました。
■福島県 生活環境部 水・大気環境課 水口昌郁さん
「会津若松市の場合は、排出源の工場に対して、排出抑制のお願いをしまして、現在はその排出抑制の実施状況とか下流域の水質の状況を継続的に監視しているところであります」
全国各地を見ても河川や井戸水からPFASの検出されるケースが相次いでいます。水道水にも混入される場合もあり、国は2025年4月から水道水のPFAS検査を法的に義務化することにしています。
そのうえで専門家は、水道水だけではなく個人で使うような井戸水など幅広い水源の実態解明が必要だと指摘します。
■PFAS問題に詳しい 京都大学大学院 原田浩二准教授
「福島県では水道水の汚染はないが場所によってはまだ検査されていない場所や個人で使っている井戸水、こういったところの実態把握はされていない。行政としては検査をする。それを住民にとってわかるようにすることが必要。私たちも自分たちの街の水道水にPFASが含まれているのか、いないのか、それがどのくらいなのかを知ることで、今後の対応を見ていく必要がある」