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みいちゃんのお菓子工房~場面緘黙症 少女の夢~

2022年11月11日 12:29
みいちゃんのお菓子工房~場面緘黙症 少女の夢~
みいちゃんは場面緘黙症という発達障害。家以外では話せず、体も動かない。小学生で不登校になったが、お菓子作りで才能が花開いた。家族の支えで夢のお菓子工房をオープン。しかし次第に心には異変が。みいちゃんの夢と娘を自立させたい親の願い、そして、たどり着いた答えは…。

みいちゃんは、声が出ません。体が動きません。

母・千里さん「お母さん、場面緘黙(ばめんかんもく)っていうの知ってはりますか?みたいな話から。最初は保健所の方から言われたときに『何これ?』みたいな。家では普通にしゃべってるし」

でも、ケーキ作りでは…。一目見るだけで、同じケーキを作ることができます。

母・千里さん「1回やらせてみようかなみたいな。そしたら、できるんですよね。ちょっとびっくりした」

両親は、障害の克服につながればとお金を工面し、小さなケーキ屋さんを建てました。そこがみいちゃんの居場所に。

杉之原みずきさん。滋賀県の特別支援学校に通っています。6歳の時、場面緘黙症と診断されました。場面緘黙症は極度の緊張や恐怖心から引き起こされる不安症で、発達障害の一種とされています。

みいちゃんの場合、家では話すことができるのに、学校などの人前では話せなくなってしまいます。表情を変えることさえできませんでした。

母・千里さん「だって、お昼も食べんとね。飲まず食わずで、朝7時ぐらいに出て、夕方帰ってくるの6時、7時ですよ。どう考えても飲まず食わずで脱水症状とかもなったんで」

みいちゃんは5人家族。お姉さんと双子のお兄さんがいます。

兄・一樹さん「普通の妹って感じやった。家では普通やから」

母・千里さん「なんか役割がうちの家族はうまくできてて、一樹には一樹の役割があって」

小さなケーキ屋さんは、少しずつ知られるように。予約は2か月待ち。1日に作るケーキは150個以上。

母・千里さん「この5年10年で、私らなしでも生きていける環境を作ってあげるかというのは、すでに念頭に置いてやり始めています」

ようやく見つけた、みいちゃんの居場所。しかし…。

母・千里さん「みずき!もう時間。そろそろ起きーよ。ケーキ作らなあかん、きょう」

異変はお菓子作りにも。たくさんのフルーツで彩られていたケーキ。新しいアイデアが浮かばなくなりました。病院で、うつ病だと言われました。みいちゃんが今、どんな状態なのかを知るために場面緘黙症の専門家、長野大学の高木潤野教授を訪ねました。

母・千里さん「これから私はどうあの子と接していったらいいかなと。場面緘黙に関して。どこをゴールにするかって…。負荷を上げすぎると、それがためにうつになってるのか」

高木教授「お金をもらう仕事をしたりとか、一般的な中学2年生の子が抱えている以上の負担がかかっているという風に考えるのが、おそらく妥当でしょうね。減らせる負担を減らしていって、みずきさんが楽に過ごせるようにしていくということですよね。ケーキを作り始めた頃というのは、プレッシャーとかあまりなくて、純粋な楽しみとしてやっていたんだけれども、やっぱり、家族の期待や周りの期待があって、成果があって、注目されるという中で、純粋な楽しみだけでは、できなくなっているというのは間違いないでしょうね」

母・千里さん「改めて思うと、確かにいろんなことを詰め込み過ぎている感があるので。そんな予定じゃなかったんですよね。細々としようと思ってたのがね」

12月。1日に10個作っていたクリスマスケーキは3個に減らしました。

母・千里さん「最近、お姉ちゃんと2人で出かけたりすることもでてきたので。お姉ちゃんも女同士なので、女性としてのフォローはお姉ちゃんがしてくれるので」

ケーキには彩りが戻りました。

母・千里さん「できることを増やしていって、最終的にはもちろん声があったらいいなとは思いますし。そこに行きつくまでには、かなり長い道があるなとは思っています」

みいちゃんのお菓子工房。ここはやっぱり、自分らしくいられる場所。

2022年9月18日放送 NNNドキュメント’22『みいちゃんのお菓子工房~場面緘黙症 少女の夢~』をダイジェスト版にしました。