【ニセ電話詐欺】被害は最悪ペースで増加 福岡県警本部長が金融機関に協力を要請 「対面」は減る 手口は巧妙化
ことしに入ってニセ電話詐欺の被害が最悪のペースで増えています。福岡県警はこうした被害を少しでも防ぐため、金融機関との連携を強化しようと協力を求めました。
これは去年12月、福岡県久留米市のコンビニエンスストアの防犯カメラに残された映像です。
NTTの職員になりすました犯人から「未払いがある」というウソの電話を受けた男性が、指示されたおよそ30万円分の電子マネーを購入しようと店員とやりとりする様子が映っています。
■男性
「いきなり電話がかかってきて、お金を払ってないって言われて、カードを買って払ってくださいって。」
■店員
「心当たりはあるんですか。電話代を払ってなかったとか、そういう心当たりが?」
購入金額が高額だったため店員が不審に思い、被害は未然に防ぐことができました。
男性は犯人から「支払わなければ裁判になる」と言われ、不安になって指示に従ったといいます。
福岡県では、ことしに入ってからもニセ電話詐欺の被害が相次いでいます。1月末時点で51件、被害額は合わせて2億8800万円に上ります。県警によりますと、ひと月の被害額としては2012年以降最悪だということです。
手口は年々、巧妙化していて、ここ数年は犯人と直接対面しない「振り込み」や「電子マネー」による被害が増えています。また去年からはATMで振り込む手口が減る一方、インターネットの口座を介した振り込みが増えているということです。
15日午後、福岡県警と金融機関が会議を開きました。ニセ電話詐欺をはじめとした金融犯罪を撲滅するために連携しようと、2014年から開かれているものです。10回目のことしは初めて、本部長自らが金融機関に協力を要請しました。
■福岡県警・岩下剛本部長
「ひとたび電話に出てしまうと、なかなか太刀打ちできないという厳しい事態となっています。近年、多発している金融商品詐欺については、高齢者ではなく若者も被害に遭っている。」
警察は会議で、不自然な振り込みでないかのチェックや第三者のなりすましによる口座開設の阻止、窓口でのさらなる声かけなどを求めました。
では改めて、ニセ電話詐欺の手口の一例を見てみます。
ニセ電話詐欺の犯人が警察官や実在の企業名をかたり電話してきます。犯人は「あなたの口座が犯罪に使われている」などと言葉巧みに不安をあおり、口座番号や暗証番号を聞き出します。
そのあと犯人は被害者になりすまし、インターネットの口座を勝手に開設し、その口座に不正にアクセスし、犯人の口座へと送金します。
こうした詐欺は固定電話だけに限らず、スマートフォンにもかかってきているということです。
警察は「警察官や金融機関が『暗証番号を教えて』は詐欺」と、注意を呼びかけています。