参加者の半数が外国人! 福岡県で『多文化運動会』 地域社会をつくる“仲間”を
10月22日、福岡県古賀市で開かれた地域の運動会は、参加者の半数が外国人という少し変わった運動会です。地域社会で外国人とどう共に生きていくのか、模索が続いています。
■かけ声
「ガンバリマショウ!」
22日に古賀市の体育館で開かれたのは、古賀市に住むさまざまな国籍の人が参加する『多文化運動会』です。
去年は玉入れなど日本の運動会で定番の競技が行われましたが、2回目のことしは、参加する外国人の出身国のスポーツが競技に取り入れられました。
バドミントンのシャトルのようなものを地面に落とさないように蹴り合う競技は、ベトナムで人気の『ダーカウ』というスポーツです。
FBSの記者も、ベトナム出身のダイさんに『ダーカウ』を教えてもらいました。
■ベトナム出身・ダイさん
「右足は固定して、左足を軽く使う。」
ダイさんが決めた目標は、一人で5回です。苦戦しながらも、アドバイスを受けながら挑戦を続けます。
■占部晃太朗 記者
「結構難しかったですけど、できましたし、何より皆さんと仲良くなれたのがすごくうれしかったです。」
スポーツを通して外国人と交流を深めようと開かれた今回の『多文化運動会』は、古賀市が外国人向けに開いている日本語教室のスタッフのアイデアで実現しました。
■日本語教室スタッフ・広渡久代さん
「とにかく一生懸命なのが伝わって、日本語だけじゃなくて、自分ももうちょっといろんな言葉を勉強して交流を持ちたいなと思って刺激を受けています。」
古賀市が外国人との共生に力を入れる背景には、『働き手不足』があります。
■古賀市 まちづくり推進課・飯尾幸恵さん
「古賀市は食品加工団地がたくさんあるので、今なかなか働き手として日本人が集まりにくいと、技能実習生をはじめ外国籍の人たちの助けなしではやっていけないんだという声もよく聞かれるので。」
製造業が盛んな古賀市では、人手不足解消のため『働き手』として外国人の受け入れが急増しています。古賀市に住む外国人は、2013年には454人でしたが、ことし7月末時点では1095人と、この10年で約2.5倍に増加しています。
『ダーカウ』を教えてくれたベトナム出身のダイさんも、古賀市の金属加工工場で働いています。
母国を離れて働くダイさんにとっては、運動会のような日本人と交流できる機会が地域社会に溶け込むきっかけとなっています。
■ダイさん
「日本語の会話もできるし、日本人と文化の交流できてとても助かります。(Q. 日本人と交流の時間は大切?)結構大切。外国人としては生活で困ることがあったら、日本人に相談ができてすぐに解決ができます。」
■古賀市・飯尾さん
「国籍が違ってもみんな同じ市民ということで、私たちはすごく知ることから交流を始めている。まずはこれだけ多くの外国籍の人が市民としているんだということを、たくさんの日本人の人に知ってほしいと思っています。」
“遠い国の誰か”ではなく、共に地域社会をつくる“仲間”として、お互いに認め合い、力を合わせることが求められています。
『外国人との共生』をめぐっては、言葉や文化、風習の違いからくるトラブルが後を絶たない現状が全国的に問題となっています。
古賀市では、『多文化運動会』以外にも外国人と共生していくための取り組みを、市が開いている日本語教室が主体となって進めています。
ゴミの出し方をめぐるトラブルを防ぐために、ゴミの出し方についての授業を行ったり、災害が起きたときにどのような備えが必要なのかやどこに逃げたらいいのか、学ぶ機会をつくるなどしています。
また、去年5月には古賀市役所に『多文化共生相談窓口』を設置し、困っていることや分からないことの相談を無料で受け付けています。