【猛威】インフルエンザの重症患者にECMO(エクモ)治療「集中治療室の4割はインフル患者」 福岡大学病院
ことしに入っても、福岡県内でインフルエンザが猛威をふるっています。重症化した患者の治療にあたる福岡市の大学病院は「例年にない異常な状況」と話しています。
福岡大学病院の救命救急センターでは、24時間365日体制で症状が特に重い患者を中心に治療にあたっています。センター長を務める仲村佳彦医師は、いつもの冬との大きな違いを感じていました。
■福岡大学病院 救命救急センター・仲村佳彦 センター長
「例年とは違う異例の状態となっています。現在は2名の患者さんが、重症のインフルエンザ関連の肺炎で治療中です。」
集中治療室に入院しているインフルエンザの重症患者は2人です。1人は人工呼吸器をつけています。
そして、もう1人は人工呼吸器に加え、血管に太い管。人工肺、ECMO(エクモ)を使った治療です。
ECMOとは人間の肺の機能を担ってくれる機器で、体外に出した血液に酸素を加えて体に戻すことで、重症患者の弱った肺を休ませ、回復につなげます。
コロナ禍では命をつなぐ“最後の砦”と言われたECMO治療を、ことしはインフルエンザで重篤化した5人の患者が受けたといいます。
■仲村センター長
「インフルエンザの肺炎をきっかけに、ECMOを必要とする患者さんが出たのは、ここ10年以内では異例なことかと思います。ただ純粋にインフルエンザだけの呼吸不全なのか、あるいはほかの細菌の感染症を合併して重症化している方もいらっしゃるので、両方が混じっている状況かと思います。」
■スタッフ
「基礎疾患はなしですよ。酒もほとんど飲まない。たばこも吸わない。」
救命救急センターが12月から1月17日までに受け入れたインフルエンザ重症患者は、20代から80代の10人です。今シーズンは、これまでにないほど重症化する患者が多い上、死亡するケースもあったといいます。病床もひっ迫しています。
■仲村センター長
「今、約4割ですね。集中治療室の中の患者さんで、インフルエンザ感染症にかかった患者が入っている状況です。」
インフルエンザ患者の増加が一因となって、救命センターの病床稼働率は年末から100%を超え続けています。
■仲村センター長
「ベッドがひっ迫し、呼吸不全患者がなかなか搬送先が見つからない。コロナ禍を彷彿(ほうふつ)とさせるような感覚でいます。可能な限り受け入れをして、今シーズンをなんとか乗り越えていきたいと思っています。」