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ドレスも選んで招待状も送ったのに コロナ助成金不正の結婚式場が破産手続き 業者「支払いはどうなる」 

2025年2月26日 17:51
ドレスも選んで招待状も送ったのに コロナ助成金不正の結婚式場が破産手続き 業者「支払いはどうなる」 

コロナ禍に国の雇用調整助成金を不正に受給したとして、10億円を超える返還命令を受けた福岡県久留米市の結婚式場運営会社が、破産申請の準備に入ったことが分かりました。26日以降の挙式や披露宴はすべて中止とされ、業者や利用者からは戸惑いの声があがっています。

■竹原侑記者
「久留米にあるアルカディアの結婚式場です。門は閉まっていて、破産手続きに関するお知らせが張ってあります。」

そこに書いてあったのは。

『経営状況が著しく悪化し、事業を継続し負債を弁済していくことが極めて困難な状況となりました』

アルカディアは、福岡・佐賀で5つの結婚式場を運営していました。2015年には福岡市・天神に旗艦店を設け、会場を貸し切って行うアットホームな結婚式を売りにしていました。突然の知らせに式場に出入りするという業者は。

■業者
「保証金を預け入れさせていただいていた分と、今まで施工した花の装飾の代金の支払いがどうなるのか。電話もつながらなかったので、確認に参りました。保証金で2施設合わせて6000万円。」

3月半ばに結婚式を予定していた夫婦のもとにも25日、アルカディアのスタッフからメッセージが届いたといいます。

『本日以降の挙式・披露宴・宴会がすべて実施できなくなりました。誠に申し訳ございません』

■3月に結婚式を予定していた20代男性
「寝耳に水じゃないですが、そんなことあるのかと。プランナーさんからも、最後まで対応させていただきますのでよろしくお願いしますと言われたので。」

2人は晴れの日に向け、ドレスの試着や招待状の送付など着々と準備を進め、アルカディアには内金など13万円をすでに支払っていたといいます。

■3月に結婚式を予定していた20代男性
「自己破産をされているので、返却の可能性は低いのかなって認識しています。今まで奥さんと2人で準備してきたものがあったので、すごく今、むなしいですね。」

アルカディアを巡っては2022年、新型コロナウイルスの影響で従業員を休ませた日数を大幅に水増して申請し、多額の国の雇用調整助成金をだまし取った疑いで、前の社長、大串淳容疑者(54)と現職の幹部らが2月、相次いで逮捕されました。

捜査関係者によりますと、大串容疑者らが不正受給した助成金は1億円以上に上るとみられます。

東京商工リサーチによりますと、アルカディアはコロナ禍に挙式の延期や中止が相次ぎ、売り上げが大幅に減少しました。2020年8月期には6億円の最終赤字となり、その後も売り上げは回復せず、雇用調整助成金や借り入れで資金繰りをつないでいたということです。

福岡労働局は、この同時期にあたる2020年4月から2022年11月までの間に不正受給があったと確認し、アルカディアに対し、支給の取り消しと違約金を含めおよそ12億円を返還するよう命じたと25日、発表していました。

福岡市・天神にあるアルカディアグループの結婚式場「クアンティック」で、ことし7月に挙式する予定だった古賀武さん(26)は、ニュースでアルカディアの破産について知ったといいます。

■古賀武さん
「正直、何も考えられなかった。きのうも妻と、こういう式にしたいと話し合っていた中で。ショックな気持ちです。」

古賀さんは去年11月に式場を契約しました。すでに結婚している妻は、ドレスの試着も始めていました。

■古賀さん
「自分の思い描いていた理想どおりだって、大満足の様子でした。」

7月の式に向けて20万円弱を振り込みました。3月から本格的に打ち合わせが始まる予定で、3日前にも担当者からSNSで連絡がきていたばかりでした。会社の破産について、担当者から連絡は来ていないといいます。

■古賀さん
「まずは説明を。お電話をいただけることが、私が望んでいることですね。結婚式は一生に一度だと思うので。現在、受け止めきれない気持ちが大きい。残念という気持ちがこみ上げてきています。」

最終更新日:2025年2月26日 17:51
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