相次ぐ被害に佐賀で初の“サル対策”研修会も 「子どもはできるだけ複数で行動を」
福岡・佐賀ではことし、住宅街などで人がサルに襲われる被害が相次いでいます。自治体ではパトロールや注意喚起を行っていますが、抜本的な解決策はなく、頭を悩ませています。
11月24日、佐賀県鳥栖市の住宅街で撮影された映像には、民家の門から出てきたサルが、飛びかかってくる様子が映っていました。
撮影した男性は車の中にいて、ケガはありませんでした。
■撮影した人
「こんなに民家がたくさんあるような所に下りてきているんだと思ってびっくりした。今月に入って2・3回サルが出ているという話は聞いていた中での遭遇だったので、本当にいるんだなという感じ。」
福岡市早良区野芥で11月16日に撮影されたサルは、何かを食べながら堂々と金網の上を歩いています。
■元木寛人アナウンサー
「動画を撮った人によると、サルは金網の上だけではなく、駐車場に止まっている車の上にも乗っていたということです。」
住宅街でサルの目撃が相次ぎ、FBSの調べでは福岡市と周辺の自治体でサルに襲われてケガをした人は、ことしに入り少なくとも26人に上っています。
■元木アナウンサー
「ここ最近、特に被害が相次いでいるのが那珂川市です。 先週金曜日にも80代の女性がサルに襲われケガをしました。」
福岡県那珂川市では9月以降、人がサルに襲われる被害が9件発生していて、小学生や高齢者など12人がケガをしています。
11月29日、地元の自治会長にサルがよく目撃される場所を案内してもらいました。
■那珂川市 下片縄西区・伊藤康裕 自治会長
「あの辺の山からサルが下りてきている。ここは中学校の通学路なので、子どもたちがものすごく通るんです。すごく危ないです。」
近くには小中学校があり、子どもが多い地域です。
伊藤さんは、対策の難しさに頭を悩ませています。
■伊藤 自治会長
「自治会として何かできることは、実はない。もちろん注意喚起のチラシをまわして『気をつけましょう』というのはできるんですけど。以前からサルはよく見かけるんですが、人にかみついたり物を取ったりすることが最近増えてきているので、そこは怖い。」
那珂川市では登校時に地域の人を中心にパトロールをしたり、目撃情報をホームページで発信するなど、警戒を強めています。
一方、佐賀県では11月29日、初めて『サル対策』の研修会が開かれました。参加したのは、市と町の担当者や猟友会、警察など90人です。
佐賀県内でことし1月から11月26日までに寄せられた、サルの目撃情報は101件です。去年の2倍近くに増えています。
■小城市職員
「もともとパトロールだけで済んでいたが、もしかすると捕獲に向けて動員をかけたりしなきゃいけないのかなと。連携して努めていく必要があると感じたところ。」
講師を務めた野生動物保護管理事務所の清野紘典さんは、群れを離れたメスザルは季節を問わず現れる可能性があり、注意が必要だと話します。
■野生動物保護管理事務所・清野紘典さん
「オスに比べて、一定の地域への定着性が高まる傾向にあるので、一度そこに定着してしまうと、ずっと出没が続くという傾向がみられる。」
サルの被害にあわないためには、どうすれば良いか聞きました。
■清野さん
「まずひとつは、お子さんは1人で出歩かないというのが一番。数の力はあると思います。1人よりは2人、2人よりは3人のほうがサルは近づきにくくなるので。できるだけ1人にならないということが一番の予防。」
ではもし、サルに出会ったらどうすればいいのか、注意点をまとめました。
まずは不用意に近づかないこと、そしてサルを興奮させないことが大切です。
大声を出す、棒を振り回すなどサルを刺激することは絶対にしないでください。
また、サルは目が合うと攻撃してくる場合があります。目を見ずに、後ずさりしてその場を立ち去りましょう。その際、走って逃げないこともポイントです。
近くでサルの目撃情報があった場合は、しっかり戸締まりすることを忘れないでください。