「子どもホスピスを福岡に」レモネードスタンドに立つ中学3年生 自分にできる関わり方でボランティア活動を 福岡
「ホスピス」とは何か、ご存じでしょうか。病気と向き合う患者の、心と体の苦痛を和らげるための施設のことです。子どもを対象とした民間のホスピスはまだ全国に2か所しかありませんが、この「子どもホスピス」を福岡に作ろうとボランティアに取り組む中学生がいます。
25日、飯塚市で「こどもホスピスチャリティーコンサート」が開かれました。
NPO法人・福岡子どもホスピスプロジェクトが、若い人たちにも子どもホスピスの重要性を知ってもらおうと、企画しました。
このプロジェクトに参加している中学3年の畑瀬由衣さん(15)です。
会場のレモネードスタンドで、小児がんの子どもを支援する募金を募っていました。2年前、子どもホスピスについて知り、プロジェクトに参加しています。
畑瀬さんは将来、小児医療に関わる仕事がしたいといいます。子どもホスピスに興味を持ったのは本がきっかけでした。
■福岡教育大付属福岡中3年・畑瀬由衣さん(15)
「レモネードスタンドが自分の家の近くで行われているというのをその日の新聞記事で知って、『私も手伝いたい』と思ってその場所に行った。」
このレモネードスタンドで子どもホスピスプロジェクトの内藤真澄さんと出会い、以来プロジェクトにも積極的に参加し、レモネードスタンドに立ちながら子どもホスピスの重要性について学んできました。
■畑瀬さん
「病気の子どもたちにとっては当たり前の生活が奪われている中で、”第2の我が家”のような存在は社会に必要な施設だなと感じました。」
子どもホスピスは、小児がんなどの重い病気や障がいを抱える子どもたちが、日常的な医療ケアを受けながらその家族と安心して楽しく過ごし、不安や苦痛を和らげる施設です。
民間が運営する子どもホスピスはまだ全国に2か所しかなく、全国的に開設のための資金不足が課題となっています。
コンサート前日、畑瀬さんは、子どもホスピスプロジェクトの内藤さんと一緒に、引退した中学校の吹奏楽部の後輩たちを訪ねていました。
今回、畑瀬さんは受験のため演奏できませんが、後輩たちにチャリティーコンサートでの演奏を依頼しました。コンサートで中学生が演奏するのは初めてです。
■畑瀬さん
「プロジェクトの一助となるような貢献をしてほしかったというのがあるので、こちらの思いとかが伝わるように、みなさんが楽しんで思いを届けてくださったらとてもうれしいなと思います。」
■後輩部員たち
「あした頑張るぞ。」
「おー。」
そして、チャリティーコンサート当日です。
■畑瀬さん
「200円以上募金いただいたら差し上げています。」
畑瀬さんはレモネードスタンドに立ち、自分ができる関わり方でプロジェクトを支えます。そして本番中は、後輩たちを舞台袖で見守ります。
無事に演奏が終わり、畑瀬さんは後輩たちのもとへ行きました。
■後輩
「失敗はしたんですけど成長はありました。」
■畑瀬さん
「良かった。」
■後輩
「先輩も一緒に吹きたかった。」
■畑瀬さん
「私も吹きたかった。舞台裏から見てたから。」
コンサートには飯塚市の3つの中学校も参加し、会場を盛り上げました。なかにはリズムに乗って踊っている子どもの姿もありました。
■コンサートを訪れた村上珠与さん・結莉さん(9)
「普段こんなコンサートと吹奏楽の音楽を聞けることないから、こういうの初めてで、すごくいい経験させてもらって楽しませていただいた。」
■福岡子どもホスピスプロジェクト・内藤真澄さん
「今まで大人たちの中だけでやってきたことですから、若い人の力ってそこにいるだけでパワーがきますね。改めて感じました。」
■畑瀬さん
「まずはプロジェクトについて知ってほしいし、一日も早く子どもホスピスが建ってほしいなという思いと、学生という立場で中学生・高校生にしかできない支援をしていきたい。」
大人や子どもが一緒になって子どもホスピスの必要性を考えていく、少しずつ若者にも支援の輪が広がっています。