福岡県内に残る“危険な通学路” 対策へ課題浮き彫りに 高校生ら8人はねられた事故から1週間
11月21日に福岡県宇美町で高校生たち8人がはねられた事故から1週間が経ちました。子どもたちの安全確保は大きな課題となっています。県内には対策が必要とされた通学路がありますが、実現には時間がかかる現状も見えてきています。
■平石千夏 記者
「1週間前、通学の時間帯を迎えたこの場所で事故が起きました。はねられたのは、近くの高校に通う高校生たちです。」
事故が起きたのは福岡県宇美町、JR宇美駅から150メートルあまりの場所です。
11月21日の午前8時すぎ、直進していた軽乗用車が反対車線の路側帯に突っ込み、高校生ら8人をはねました。全員命に別条はありませんでしたが、女子高校生1人が肺挫傷と顔の骨を折る重傷を負いました。
通学路には、事故の危険が潜んでいます。
2021年6月、千葉県八街市で下校中の児童の列にトラックが突っ込み、5人が死傷した事故をきっかけに、国は全国の通学路を一斉点検しました。
福岡県で対策が必要とされた、いわゆる『危険な通学路』は2365か所です。このうち、1871か所は、去年までに対策を終えています。
■山本竜誠 記者
「こちらの道路では、交通量の多さや見通しの悪さが問題視されました。そのため、ドライバーに子どもたちが歩くことを知らせる緑色のカラー舗装が新たに整備されました。」
一方で、まだ着手できていない場所も残っています。
その一つが、福岡市博多区吉塚中学校の通学路です。
■東吉塚校区 自治協議会・貞閑秀男さん(75)
「ここが一番狭いでしょう。トラックが離合できない。向こう側から来るトラックがある、こっち側から来るトラックがあるもんやから、やっぱり生徒が危険。交通量が多いですからね。やっぱり他の事故で、トラックが幼稚園児に突っ込んだこともあったので。」
話を聞いたのは、この校区で自治協議会の会長を務める貞閑秀男さん(75)です。中学校に続く道路の道幅が狭く大型車も通ることから、行政に対策を要望しています。
■貞閑さん
「会社が立ち退き、マンションができたらやっぱり住民が増えますよね。中学校ぐらいならある程度危険を感じるけれど、やっぱり小さい子どもはまだわからないですよ。やっぱりいつ事故に遭うかわからないような状態じゃないですか。」
福岡市が主体となって検討している対策は道路を広げ、歩道を設置することです。
しかし、そのためには今あるマンションや駐車場の土地を福岡市が取得しなければならず、それだけで数年単位の時間がかかってしまうのです。
福岡市は道路沿いの地権者に「道路を広げたい」という意向は伝えていますが、まだ用地の売買交渉には至っていません。
■福岡市 道路計画課・許斐敬史 課長
「地域の皆さまのご理解とご協力をいただきながら対策を実施していくことが大事なので、丁寧に説明をしながらご理解をいただきながら実施していく。今後も誰もが安心して通行できる歩行空間の確保に向けて、通学路の安全対策の着実な推進を進めていきます。」
場所によっては簡単には進められない通学路の対策ですが、事態は急を要しています。
■貞閑さん
「やっぱり子どもたちでしょうね。子どもたちの危険でしょう。」
何よりも優先されるべきは、子どもたちの安全です。早急な対策が求められています。