【専門家に聞く】クイーンビートルの“浸水隠し”「最悪の場合は洋上で航行不能に」「沈没の可能性も」隠ぺいの理由についてJR九州は「これから調査」 福岡
博多と韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」が亀裂による浸水を隠し、運航を続けていた問題です。JR九州は14日、会見を開き、浸水の隠ぺいはグループ会社の前社長の指示だったことを明らかにしました。
■JR九州 取締役常務執行役員・松下琢磨氏
「本当に申し訳ございませんでした」
14日午前11時すぎ、福岡市博多区の本社で会見を開いたJR九州。問題となっているのは、JR九州のグループ会社「JR九州高速船」が運航するクイーンビートルです。
博多湾と韓国・釜山を結ぶ新型高速船で、おととし11月に国際航路に就航しました。定員500人の最新型の高速船です。
しかし、JR九州高速船はことし2月に船体への浸水を把握したにもかかわらず、修理や検査、国への報告をせず、およそ4か月運航を続けていました。
親会社のJR九州は14日の会見で。
■JR九州 取締役常務執行役員・松下琢磨氏
「発生した時点で、きちんとした報告は社内ではですね、船員から報告が上がってきていまして、田中(前社長)まで連絡が行った上で、社長の田中が報告しないという決断をしたのは事実です。」
浸水の“隠ぺい”を指示したのは、13日付で解任されたJR九州高速船の田中渉・前社長だったことを明らかにしました。
JR九州高速船は浸水を把握した後、船の浸水を知らせる警報センサーの位置を故意にずらしたり、日誌に浸水がなかったかのように虚偽の記載をしたりしていましたが、これらは田中 前社長の指示だったということです。
隠ぺいの理由についてはJR九州は「これから調査する」としています。
今回の問題について、海難事故に詳しい専門家に聞きました。
■東海大学 海洋学部・山田吉彦教授
「強く言えば言語道断。全く、あってはいけないことだと考えています。最悪の場合は、洋上で航行不能になってしまう。さらに浸水すると沈没の可能性も否定できないと思います。」
その上で、運航のチェック体制を見直す必要性を指摘します。
■山田教授
「何よりも運航に関する基礎的な考え方、モラルを守るという運航精神から直していかなければいけないと思います。そして正確な記載、それを管理していくという二重三重のチェック機能が必要だと思います。」
JR九州も事態を重く見て「安全体制の見直しと社内の意識改革を図る」としていて、これが進むまで、13日から運休しているクイーンビートルの運航は再開しない考えを示しています。
国土交通省は監査を続けていて、海上運送法に基づく行政処分を検討しています。