地方銀行で日本初の取り組み 若者の広島離れを防ぐプロジェクトとは!?【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。宮脇靖知アナウンサーが、地方銀行としては日本初となる広島銀行の地方創生の取り組みについてをお伝えします。
総務省の報告では、2023年に広島県から県外に出た人数が1万4000人を超え、3年連続で全国最多でした。流出を防ぐことは、広島県の大きな課題の1つとなります。広島県が出している数字を見ていくと、就職や転職などで多くの若者が県外に転出していることがわかります。
こうした事態を受けて、広島県とひろぎんホールディングス、マツダ、中国電力の4者が旗振り役となり、若者の流出を防ぐ『はたフル』という取り組みを発表しました。これは、1社では実現が難しい仕事を共同で行い、出会いを創出し、さらに休暇を楽しみ仕事をする「ワーケーション」を合同で実施するものです。
雇用の機会を創出するために取り組むのが、ひろぎんホールディングスDX統括部長の石原和幸さんです。ひろぎんとしても、2016年から本格的にデジタル技術を、社会変革を起こしてビジネスにつなげていく取り組みをしています。およそ8年かけた初のビジネスプランが、2025年1月からスタートします。
事業展開の大きなポイントとなるサービスが企業に提供する「給与スピード受け取りサービス」です。 簡単言うと、働いた実績の範囲で必要分だけ給与日前に給与を前払いで受け取ることができるシステムで、これからいろんな企業で導入しようとしています。多くの企業は、1ヶ月分の給与を給与日に1回で支給しますが、このシステムでは、例えば10日に1万円を、27日に2万円を支給してもらえるように自己申告することで、前払い分の給与をすぐに受け取ることができます。本来の給与日に支給される金額は、前払い分から差し引かれますが、好きなタイミングで使いたい人にとっては便利になります。さらに、実働分であることから、ローンや前借りにもなりません。また、デジタルマネーではなく現金で給与口座に振り込まれます。
このシステムが、なぜ地方創生に繋がっていくのでしょうか。狙いは、多様な働き方を支えることです。想定している利用者は、飲食業や運送業などの非正規雇用者です。求職者にとっては、収入も含めて自分の好きな生活スタイルにあった職場を選ぶことができ、それに合う企業も増えます。また企業にとっては、応募者の増加で人手不足も解消することができます。つまり、広島にこのような場所を作り、広島に定住して働いてもらうことを目的とした仕組みとなっています。都心などでは、このシステムを取り入れている企業が多いそうです。広島はまだ数社で、2025年1月からの利用を企業にお願いをしているということです。
このサービスは、アプリに登録して簡単に操作できます。給与スピード受け取りサービスでは、金額を入力してボタンを押すだけで口座に振り込まれます。残高予想サービスは、銀行の取引履歴から消費パターンを予想し、このままだとマイナスになることを知らせることで、自分の支出を見直すことができます。また、支払金額が不足しているならば、給与スピード受け取りサービスを使って補うことができます。銀行が提供しているサービスであることから、ローンを生活の範囲内に合わせた限度額で使うこともできます。銀行としては、現金で口座に振り込まれることで、口座の付加価値や利便性の向上を目指しています。
石原さんは「地方銀行では全国初のサービスです。ひろぎんとしても、チャレンジングな企業文化を作っていきたい。」と話していました。これまでは、独自で作ったサービスを提供することはなかったため、ひろぎんとしても新たな挑戦だそうです。また1つ、このような企業が増えることによって、広島で働いてみたいと思う人も増えるかもしれません。この取り組みで社会変革を起こすことで、広島が「住んでみたい場所」になることに期待が寄せられます。