広島県の中山間市域を盛り上げる! 里山・里海の魅力が満載「さとやまマルシェ」【アナたにプレゼン・テレビ派】
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広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。地方創生をお伝えする宮脇靖知アナウンサーが、中山間地域を盛り上げるための、里山・里海の魅力を発信する取り組みについてお伝えします。
中山間地域とは、農林水産省の定義で平地以外の農業地域のことを言います。広島県内は19市町にまたがり、面積の7割が当てはまります。災害面においても、しっかり管理していくことが大事となります。県としてもこのような場所では、高齢化や空き家の増加、産業の衰退など課題を抱えています。
このような場所をしっかりと盛り上げていくためのイベント「さとやまマルシェ」が、そごう広島店で2月18日から行われています。運営しているのは「ひろしま里山チーム500」です。広島県の事業として、中山間地域を100年先につなげるための取り組みをしていくチームです。イベントには、生産者などチームに入っている37店が出店します。この中から、2つの取り組みについて紹介します。
1つ目は、着物をリメイクした洋服を作る、府中市上下町の「上下スタイル」の取り組みです。「ジレ」というベストのような服や、スプリングコートなど 1万1000円から販売されています。
仕掛けているのが、「上下スタイル」を運営する眞野(しんの)順子さんです。出身は名古屋ですが、夫が上下町の出身のため1995年から住んでいます。2013年から「上下スタイル」という事業を進めており、観光客に対する着物の着付けなども行っています。始めたきっかけは、実家から大量の着物が届いて「どうすればいいのか」と考えた時です。同じ上下町に住む洋裁職人の妙加谷(みょうがや)純子さんに頼んで、リメイクしてもらう取り組みを行っています。
現在、リメイクする前の着物が、およそ1000着ほどあります。その理由として、高齢化で遺品整理をする家や、さらに、江戸時代に「天領」だったことで旧家も多いことから、着物を持っている人の多くが預けてくれるそうです。これを資産として、地域の盛り上げに活用していきたいと考えていると言います。
考えている内容は、滞在時間をこの場所で増やしてもらうために、従来のような「着物を着た散策」に加えて、男性向けの着物をリメイクすることで、夫婦またはカップルで一緒に楽しみ、さらに写真たて作りで伝統文化の体験をします。上下町は、書を飾る額縁の生産が全国で7割を占めています。写真たて作りの体験では、額縁の「表装」という布の部分に取り込みます。最後に、自分の写真を作った写真たてに入れるという流れを作っていきたいそうです。
2つ目は、瀬戸内の天然ひじきを伝えたい「松島や」を営んでいる北尾悦子さんの取り組みです。出身の呉市豊浜町で、昔から故郷の味であるひじきを食べてきたそうです。「このおいしいひじきをなんとしても伝えたい」という思いから、14年前に自ら北広島町千代田にある道の駅などに売り込んで売り上げを伸ばし、2020年から「瀬戸内天然ひじき」としてブランド化しました。
ひじきは、栄養価の高い食べ物として海外でも注目され、さらに鉄釜で湯がくことで、鉄分などの栄養もしっかり摂ることができます。お土産にしやすいパッケージの「瀬戸内天然ひじき」は乾燥ひじきで、水に戻しておよそ4分が頃合いだそうです。野菜サラダにトッピングすると、オリーブオイルと少々の塩をかけただけで、とてもおいしく頂けます。 香りが良く、ひじき特有の磯の旨みもあります。
ひじきを手軽に毎日食卓に届け、体にも良いことを多くの人に知ってもらうことで、漁獲量も減少している中、これまで自分たちで食べる分のみを獲っていた漁師ためにも、ブランド化で副収入を増やすことによって、漁業が繋がっていくのではないかという思いを込めているそうです。
このような取り組みをしている皆さんが一堂に会する「さとやまマルシェ」では、生産者もその場に立つ時間帯があります。ぜひ、新しい広島の里山・里海の魅力を発見してください。