広島県内初の農学部を設置へ 「地域に選ばれる人材を」 広島修道大学で学ぶ未来【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。地方創生をお伝えする宮脇靖知アナウンサーが、広島修道大学に県内で初めて設置予定の農学部についてお伝えします。
2027年に新たに農学部が設置される予定の広島修道大学は、広島市安佐南区にあり、現在7学部13学科、6000人以上の学生が在籍しています。その背景には、理系の人材の確保を目指す国の支援があり、規模としては、およそ3000億円です。この事業には「デジタル分野」と「グリーン(農業)分野」があり、広島修道大学は「グリーン(農業)分野」で名乗りを上げました。
農業の分野は幅が広いため、広島修道大学農学部では3つの学科を設置する予定です。1つ目は「食農科学」です。この学科では実験や研究、実際に畑に出向いて農業研修を行います。また「農場と食卓をつなぐ」というテーマがあり、農作物がどのように消費者に届くのかを学ぶことができ、加工技術やブランド化の方法などを考えます。2つ目は「生物科学」です。生物を研究することはもちろん、農業との関わりを学びます。最近よく耳にする鹿などの被害、いわゆる「獣害」の影響も出ていることから、 生体系も含めた大きな括りで農学について考えていきます。
3つ目は「環境学」です。「地球温暖化やリサイクル」として、環境だけでなく農業も経済的に考える学科です。今後、学内に実験室やビニールハウスを設置する予定で、学外では畑を借りたり、周囲の耕作放棄地も活用して、地域と一緒に取り組んでいきます。農業をする上で、重労働であることや人手不足など様々な面での改善が期待されます。
今後、どのような学問の内容にしていくのかを考える協議会が設置されています。食品や流通、メーカーや農園など色んな分野から「何を市場として求めているのか」「社会として求めているのか」を吸い取り、学ぶ内容が決められるとのことです。
農学志向が高まっており、農学を学べる学科は、現在全国で88です。大学生の減少が見られる中、農学を学ぶ学生は増加傾向にあります。就職率が高いことが、理由の1つとして挙げられます。
全国的にも地方創生をリードしている宮崎県の新富町で、グリーン分野においてスマート農業などを導入し、農業を推進している「AGRIST(アグリスト)」の斎藤潤一さんは「食の安全や環境問題への関心が、全体的に高まっている。テクノロジーや情報通信を使うことによって、可能性のある分野へと農業を変えていくことができる。」と話していました。
具体的に見ていくと、斎藤さんが会社が製造した農業ロボットは、AIで収穫時期を迎えたかどうかを察知して選別し、人がいなくても収穫をします。これにより、人手不足の解消や人件費を抑えることができ、未来につながる農業を考えていこうとしています。さらに「地域の活性化にもつながる」と、斎藤さんは話しています。
「地域の活性化」の取り組みとして、鹿児島大学農学部では、一般でも参加できる「焼酎マイスター養成コース」という研究施設を使った講座や、社会人が鹿児島大学の林で生産管理を学び、スキルアップにつげていく「次世代林業マイスター養成講座」が開かれています。地域と一緒に なる大学があることによって、様々な学びの場も増えていきます。大学でできることが増えることによって、社会のあり方が変化するように思われます。「農学を学んだ人材」が、移住や新しい産業雇用につながっていきます。
広島修道大学の増田尚史副学長は「街に近い中山間地に大学があるので、地域の人が交わる場所にしていきたい。そして、地域に選ばれて地域に人材を送り出すような学部にしていきたい。」と話していました。