戦後80年 戦禍を逃れた楽器の物語 音楽朗読劇で奏でた「被爆ピアノ」の音色【NEVER AGAIN・つなぐヒロシマ】
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第二次世界大戦の戦禍を逃れた楽器をテーマにした音楽朗読劇が、広島市で上演され、被爆死した少女が愛用したピアノが演奏されました。
■朗読(日記原文のまま)
「私と信ちゃんとが遊びました。ピヤノをじょうずにしました。」
2月16日、広島市内で上演された音楽朗読劇。第二次世界大戦の戦禍を逃れた実在する3つの楽器がテーマです。架空の音楽家3人が演奏を交えながら、楽器にまつわる戦争の記憶を語りました。
実物による演奏が行われたのは、広島で被爆死した河本明子さんのピアノです。
■朗読
「でも今は、記憶が溢れ出してくる。」
明子さんは、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。両親から贈られたピアノとともに、一家は広島に移り住みます。そして19歳の時、勤労奉仕先で被爆。翌日、亡くなりました。
愛用していたピアノには、爆風で飛び散ったガラス片が刺さったたままです。戦争の記憶を、音で伝えます。
■観客は…
「想像力が膨らむ世界というのを、体感できたと思います。」
「確かに明子さんは、この世にはいらっしゃらないかもしれないですけれど、ピアニストの方を通して、そこ(ピアノ)にたまった記憶が、もう一回よみがえってくるイメージをもって聴けた気がします。」
■ドイツの脚本家 フロリアン・ゴルトベルクさん
「わたしにとってこの劇は(まさに)芸術が「戦争による破壊」と「生命の暴力性」に打ち勝つものだった。観客に日本語で聴いてもらい、『明子さんのピアノ』を劇全体の中心として鑑賞してもらい、とても感動する作品になった。」
明子さんのピアノが奏でた平和の音色。80年の時を超えて、およそ400人を魅力しました。