注射しないインフルエンザのワクチン? 今後も注意すべき感染症と予防法とは?【テレビ派・長島カイセツ】
広島テレビの長島清隆解説委員が、注目のニュースを分かりやすく分析・説明する『長島カイセツ』です。今回は、現在流行している感染症と、今後の流行に備えなければいけない感染症についてお伝えします。
特に注意をしないといけないのが、「マイコプラズマ肺炎」「インフルエンザ」「新型コロナウイルス」です。
特にマイコプラズマ肺炎は、過去5年間の平均を見ると広島県の患者数は多くありませんでしたが、2024年は急に増えています。これは広島県に限らず、全国的な傾向にあります。
広島市西区の永照幼稚園で元気に遊ぶ子どもたちには、「外から帰って来たら(手を)洗います。」という、必ず守る約束事があります。この幼稚園では、夏頃からマイコプラズマ肺炎に感染する園児が増えました。そのため、手洗いやうがい、空気の入れ換えなどを徹底しています。
■永照幼稚園 森木美咲先生
「(マイコプラズマ肺炎に)かかったお子様と、治った頃に別のお子様がかかるという、入れ替わりのような形で少し流行しました。今は落ち着いております。」
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌による呼吸器の感染症です。発熱のほか、咳が3~4週間と長期にわたって続くのが特徴です。医師は、マイコプラズマ肺炎に気づくのが遅れることで感染が広がりやすいと指摘します。
■堀江内科小児科医院 堀江正憲医師
「潜伏期間が長いんですよね。2週間から3週間というふうに、なかなかすぐに症状がでてこない。だから自分でも気づきにくい。」
厚生労働省によると、患者の8割は14歳以下とされていますが、2024年は堀江内科小児科医院に診察に訪れる患者は、30~40代も多いそうです。子どもたちは季節を問わずよく咳をすることから、マイコプラズマ肺炎かどうかを見極めるのはなかなか難しく、また、潜伏期間が長いので「喘息」と勘違いをしているうちに、人に移してしまうケースも多いそうです。自己判断をせず、医療機関で検査をしてほしいということでした。
これからの季節に注意したいのが、昨シーズンに大流行した「インフルエンザ」です。2023年10月5日に注意報、11月24日に警報が出されて、2024年4月になって解除されたことで、過去10年で最も長い期間となりました。2024年も昨年同様に長期間の警報が出るとは限りませんが、インフルエンザの重症化の予防に効果があるのは、ワクチンです。
しかし、インフルエンザの予防接種に来た子どもたちにとって、注射はとても怖い存在です。看護師の経験がある井上アナは、「ほとんどのお子さんは泣きますし、どれだけ大事なことだよと説明しても、針を見ると怖いし、辛いし…大変ですよね。」と話していました。
2024年から、痛みがないワクチンが国内で使えるようになりました。それが、鼻の穴に噴射をするタイプの「フルミスト」というワクチンです。両方の鼻の穴に、1回ずつ噴射します。対象年齢は2歳から18歳までで、年に1回の接種となります。しかし注意点としては、このワクチンが「生ワクチン」であることです。
「生ワクチン」は、実際のウイルスを弱毒化したものです。堀江医師は「特徴を理解した上で、使用するかどうかを判断して欲しい」と、話しています。
■堀江医院 堀江正憲医師
「生ワクチンですので、どうしても周囲にインフルエンザをまき散らすことになるので、妊婦や免疫不全のある人、インフルエンザにかかってはいけないようなタイプの人がいたら、1~2週間は周りにまき散らすことがあるので、そういう人を避けて行動する。その辺が難点と言えば難点です。」
また、忘れてはいけないのは「新型コロナウイルス」です。昨シーズンも年末年始に人が移動した後に、増加する傾向が見られました。2024年からは、65歳以上が新型コロナウイルスワクチンの定期接種の対象となります。
感染症の予防法は共通しています。ワクチンのある感染症に関してはワクチン接種、手洗いやうがい、換気、マスクや咳エチケットといった、基本的なことを徹底することが大切になってきます。新型コロナウイルスで学んだことを、今シーズンも活かしていきましょう。