「尊い命を失わせてしまった」長時間労働が自殺の原因 熊本県警が元巡査の遺族に謝罪
2017年に熊本県警の男性巡査が自殺したのは長時間労働が原因だったとする判決が確定したことを受け、熊本県警の当時の上司らが28日、遺族を訪ね謝罪しました。
熊本県警の幹部ら4人が訪れたのは、2017年に24歳で自ら命を絶った元巡査・渡邊崇寿さんの実家です。崇寿さんの遺族は3年前、長時間労働が自殺の原因として熊本県に賠償を求めて提訴しました。そして去年12月、熊本地裁は業務と自殺との因果関係を認定し、県に6100万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡し、確定しました。
これを受け28日、熊本県警の宇野晃警務部長や崇寿さんの当時の上司が遺族のもとを訪れ謝罪しました。
■熊本県警 宇野晃警務部長
「当時の県警察において勤務環境の整備が十分ではなく、尊い命を失わせてしまったことについて心からお詫びを申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」
■渡邊崇寿さんの母 美智代さん
「(崇寿さんが亡くなって)7年もたたなければ県警からの言葉を聞けなかったのかと残念で仕方がありません」
県警の謝罪の後、遺族が記者会見を開きました。当時の上司は仏壇の前で泣きながら謝罪し、「亡くなった日から崇寿さんのことを忘れたことはありません」と述べたということです。
■渡邊崇寿さんの母 美智代さん
「私たちに謝るんじゃなくて崇寿に謝ってほしかったので、その気持ちは通じました。崇寿の事も思い出したいので、後ろも振り向きながら(崇寿さんの兄と妹と)3人で手を取り合っていきたい」
県警は、上司が部下の時間外労働を把握する仕組みを導入したとして、働きやすい職場環境の構築に取り組むとしています。