【熊本市電】九州運輸局が改善指示 監査で視力や技術が基準に達しない運転士も
20日は、九州運輸局の永松靖二鉄道部長が、熊本市交通局の井芹和哉交通事業管理者に改善指示書を手渡しました。熊本市電をめぐっては今年7月、レールと車輪の摩耗が原因で車両が脱線する「重大事故」が発生したほか、9月2日には、扉が開いたまま約40センチ走行するなど、重大な事故につながりかねない「重大インシデント」が起きました。
こうした「安全に関わるトラブル」は、今年に入って11件に上っています。
トラブルが相次いでいることを受けて九州運輸局は、今年7月と8月の2回、鉄道事業法に基づいて監査を行い、運転士2人の視力が国の軌道運転規則の基準に達していなかったほか、別の運転士2人は運転に関わる技能が市交通局の基準に達していなかったにも関わらず、市電の運転を続けさせていたことがわかったということです。軌道の整備については、2本のレールの間の幅が基準値を超えていたにも関わらず、整備をしていなかったとしています。
その上で、運転士への教育や軌道の整備を適切に行う体制を構築するよう求める改善指示を出しました。
■九州運輸局 村井孝徳主席鉄道安全監査官
「現在の安全管理体制もしっかりと見直して検証していただくということも求めているので、それも含めて改善報告をいただく。しっかりした改善をしていただきたい」
■熊本市交通局 井芹和哉交通事業管理者
「九州運輸局から改善指示文書が施行されたことは重く受け止めていますし、真摯に反省しています。本当に申し訳なく思っています」
九州運輸局は、1か月後の10月21日までに改善策を報告するよう求めています。
【スタジオ】
今回出された「改善指示」ですが、運輸局の監査の結果、法令違反が認められた運送事業者に対して行う「行政指導」を指します。この指導に従わなかった場合、事業改善命令などの「行政処分」が行われる場合があります。
「改善指示」は、2019年以降、熊本県内の鉄道関連では、2019年に肥薩おれんじ鉄道、2019年と2024年の熊本電鉄のあわせて3件が出されています。2019年の熊本電鉄では、木製の枕木をコンクリート製に交換する工事の一部が実施されていなかったことなどについて改善指示が出されました。
そして今回の熊本市電で、この5年間では4件目の改善指示となりました。