「一番人気の商品は?」東京にあるアンテナショップ「銀座熊本館」オープン30年 取り巻く現状は
東京で熊本の魅力を発信するアンテナショップ「銀座熊本館」。熊本の特産品が手に入る場所として親しまれてきました。オープンから30年、取り巻く現状を取材しました。
東京都内で地方の情報や特産品の販売などを手がける各県のアンテナショップ。広島県はプロ野球の地元球団のチームカラーを押し出し、香川県は名産の讃岐うどんをPR、徳島県が発信するのは“生産量日本一のすだち”です。
熊本県のアンテナショップは「銀座熊本館」。東京メトロの銀座駅からわずか徒歩1分の場所にあります。1994年に熊本県が一部を所有するオフィスビルにオープンして今年で30年。都内にいながら熊本の特産品が手に入る場所として親しまれてきました。
熊本にいるかのような店舗に
■緒方大樹記者
「東京の銀座に来ています。駅前のビルの建ち並ぶエリアなのですが、この建物の扉を開けて中に入ると、熊本の名産品がずらりと並んでいます」
1階では、熊本が誇る球磨焼酎や郷土の味・馬刺し、それに、名物の陣太鼓など約1500点の商品が販売されています。
■埼玉から訪れた人
「友達の勧めで来ました。ここのアンテナショップいいよって。これ(太平燕)を買ってみました。給食で出るって書いてあったの」
2階にはバー「ASOBI・Bar」があり、焼酎や日本酒など、熊本のお酒が楽しめる空間となっています。
■訪れた人
「いつも飲み会はここで。おいしいんですよ、ここのものが」
■銀座熊本館 小田周平さん(熊本県職員)
「東京にあるアンテナショップなのですが、店舗の中では熊本県にいるかのような、地元を感じてもらえるような店になればいいなと思います」
熊本のアンテナショップは、どのくらい人気があるのでしょうか?地域ブランドを調査する会社が、首都圏の約2万人に、利用したことがあるアンテナショップを聞いた結果です(ブランド総合研究所・来店経験率ランキング2023年)。調査では、都内にある34の道県の店舗中、熊本は10位にランクインしました。
店を訪れる多くの人たちがお目当てにしているのが、熊本ならではの商品です。トップ3は、3位が「南関あげ」、2位が「陣太鼓」。そして1位は「いきなり団子」です。サツマイモもとあんを、もちもちの生地で包んだ熊本ではおなじみの味です。
■埼玉から訪れた人
「いきなり団子?あれを食べてみたくて来ました」
いきなり団子は、1か月に2000個から3000個売れるということです。
閉店や相次ぐアンテナショップ 生き残るには
一方、アンテナショップは近年、閉店や移転が相次いでいます。2020年度の81店舗をピークに、今年度は66店舗に減少しました(地域活性化センター調べ)。背景にあるのは、コロナ禍による客の減少や高額な賃料の負担などです。
生き残りをかけ、各店舗ではあの手この手で客を呼び込んでいます。
■北海道どさんこプラザ有楽町店 高島良幸副店長
「いつご来店なさっても飽きの来ないような店づくりを心がけていて、例えば1週間で切り替わる催事を(店内)3か所で展開している」
熊本も例外ではありません。銀座熊本館の売上は、昨年度が約3億円で、コロナ禍前の水準まで回復しています。しかし、熊本地震の復興支援の機運が高まり過去最高となった2016年の6億2000万円と比べると半分以下です。
■銀座熊本館 小田周平さん(熊本県職員)
「くまモンも、かなり首都圏の方にも知られているので、くまモン人気というのもお客さまが増えている1つの要因だと思う。ここでお買い物してくださった皆さんが、熊本にも観光で来てもらうとか、そういったことにつながればいいなと思います」
銀座熊本館を通して熊本の認知度の向上にもつなげたい。魅力を直接発信する拠点としての存在価値が今、改めて問われています。