熊本と北海道の観光交流『くまモンは人気だけど…』チャーター便の乗客数に大きな差
熊本県と北海道は、半導体の国家プロジェクトを推進するため協定を結んでいます。観光でも交流を生もうとチャーター便が運航されることになりましたが、2つの自治体で大きな差が出ています。
週末の札幌市。イベントの会場で人だかりの中心にいたのは…。
■呼び込み
「熊本県営業部長兼しあわせ部長のくまモンです!」
■札幌在住の親子
Qなんでくまモン?
「かわいいからです。東京で実物を見て、はまりました」
この日くまモンが北海道にいた理由は「半導体」です。台湾の大手半導体メーカーTSMCの工場がある熊本県。一方、北海道は日本の大手企業8社が設立した半導体の新会社「Rapidus」が進出しています。
国家プロジェクトとして半導体関連企業が後押しされる熊本と北海道は去年8月、連携強化に向け協定を結びました。これを機に観光での交流も期待されるとして、チャーター便の運航が決まりました。
ところが、2月のチャーター便は、熊本から札幌に向かう便は満席に近かった一方、札幌から熊本に来る便は6割ほどしか席が埋まりませんでした。
そして7月運行予定の便も、熊本から札幌に向かう便は100席以上が予約済みですが、熊本に来る便はその3分の1にも届いていません。
なぜなのでしょうか?北海道の人に熊本の印象を聞くと。
■女性2人
「熊本に何があるか、あまりわからない」
Qくまモンとか熊本城とかは一応ご存じ?
「うんうん」
Q他に出てくるところは?
「さつまあげ?鹿児島か!」
■家族
「長崎と福岡と佐賀は行ったことあるんですが、熊本はないんです。行くチャンスがない。札幌から遠いですからね」
15回ほど熊本に来たという先ほどの親子も。
■札幌在住の親子
「行くまで天草も長崎だと思っていました。もうちょっと宣伝すればいいですよね」
この状況を、熊本県はどう見ているのでしょうか。
■畑中香保里キャスター
「チャーター便の利用状況の差がありましたが、どのように受け止めていますか?」
■熊本県交通政策課 黒川賢一郎課長補佐
「認知度に現状開きがある」
■熊本県観光国際政策課 西村知哲主幹
「温泉、食、雄大な天草とか阿蘇とか、そういったところの観光コンテンツが多くありますので、そういったところのPRをしたい」
現実を受け止めたうえで様々な媒体を使い、「地道なPRをしたい」と語る県。半導体をきっかけに生まれた北海道とのつながりをチャンスに変えるため、マンガやアニメを使うことにも力を入れるといいます。
■熊本県交通政策課 黒川賢一郎課長補佐
「千載一遇のチャンスとこの機会をとらえて、しっかりまずは足元の取り組みを進めていきたい」
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
去年、北海道民がどこに旅行に行ったのか調べてみたところ、九州地方への旅行者は延べ29万5000人でした(観光庁調べ)。関東地方へは延べ239万人、近畿地方へは延べ69万人なので、現状は下回っています。半導体産業をきっかけに、どう戦略を立てていくかが鍵になりそうです。