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【武田真一さん深堀り】独自調査・川の総延長の約半分から有機フッ素化合物 発生源は?影響は? 熊本市も調査開始

2023年11月9日 19:42
【武田真一さん深堀り】独自調査・川の総延長の約半分から有機フッ素化合物 発生源は?影響は? 熊本市も調査開始

熊本出身で、月曜から金曜の午前に放送している「DayDay.」司会者、武田真一さんと東島大デスクが熊本のニュースを深掘りします。

今回は、熊本の地下水から有機フッ素化合物が検出された問題で大きな動きです。

有機フッ素化合物が熊本市の井戸水から国の指針値を超えて検出されたと発表されて、半年以上がたちました。しかしいまだにその原因はわかっていません。KKTは、京都大学と共同で熊本市を流れる井芹川の水質を調査しました。

その結果、総延長の半分近くにあたる6キロ以上にわたって、国の指針値を超える有機フッ素化合物が検出されました。

この問題について、京都大学大学院の原田浩二准教授にリモートで出演いただいています。

原田さんは有機フッ素化合物の第一人者で、政府が設置した専門家会議のメンバーでもあります。

そしてさらに今回は、熊本市の特別プロジェクトチームのトップでもある永田努環境推進部長にスタジオに来ていただき、一緒に検証していきます。

■東島大デスク
永田さん、熊本市はきょうから井芹川の調査を始めたということで、
その点についてもよろしくお願いします。

京都大と独自調査 井芹川の総延長の半分近い地点で指針値上回る有機フッ素化合物

これまでの経緯をまとめました。

KKTと京都大学は、井芹川の18の地点で水を採取・分析しました。その結果、川の中流から上流付近では、西区池田の天神大橋から北区植木町の鐙田橋まで、すべてで有機フッ素化合物の濃度が国が暫定的に定めた指針値の50ナノグラムを上回りました。

鐙田橋から天神大橋までは約6.4キロで、井芹川の総延長14.5キロの半分近くにあたります。

上流ほど濃度が高く、最も高かったのは源流に近い鐙田橋の73.62ナノグラムでした。この結果について熊本市は。

■熊本市 永田努環境推進部長
「ここまでの状況とは思っていなかった。上流に排出源というか、何か原因となるものがあるのは間違いない」

有機フッ素化合物は、フライパンなどの調理器具や、はっ水の素材など身近なものから泡消火剤や半導体工場などに広く使われていましたが、発がん性を高めるなどの有害性が指摘され使用や製造が規制されています。

井芹川の中流から下流は住宅地や学校などが多くあるほか、上流の植木町では水田のほか、スイカやメロンなど園芸作物の一大産地となっていて、農業用ハウスが並んでいます。

■熊本市 永田努環境推進部長
「どれぐらいの農家が灌漑用水として使用しているか、今熊本市の農水局でも調べているが、かなりの農家が使われているのではないかと思っている。農業を営んでいる皆様への説明を、農水局とも連携しながらしっかり取り組みたい」

熊本市は9日から井芹川の調査に乗り出しました。早急に結果をまとめ、公表する予定です。

国の指針値50ミリナノグラム超えると影響は?

■畑中香保里アナ
武田さん、今の映像をどうご覧になりましたか?

■武田真一さん
井芹川の上流に行けば行くほど濃度が高くなっているというのは驚きだし不思議ですよね。
周りは園芸農業の一大産地ということですので、農作物への影響は原田さんどうなんでしょうか?
作物に有機フッ素化合物が吸い込まれて蓄積するようなことはあるんですか?

上流ほど高濃度 発生源は?

■京都大学大学院 原田浩二准教授
今回1リットルあたり50ナノグラム以上と検出された場所があるわけですね。ただ直接飲んでいるわけではないのでその点で影響というのはまだ大きくはないと思っています。
やはり気になる農作物に関してですが、一定の割合では農作物に入るとは言われていますが50ナノグラム/リットルというのは影響は大きくはないと思っています。
ただ、さらに上流でどれくらいの濃度になっているかということによっては検討が必要だとは思っています。

というのがヒトが飲料水として使用すると害が出る可能性があるレベル。農業用水としてみるとすぐにそれを食べたヒトに害が出るレベルとは言えません。ただし、発生源の近くでは影響がある可能性もあります。

■武田真一さん
暫定指針を超える所も出てきているわけですけど、それでもまだ農作物への影響は限定的と考えていいということですね?

■京都大学大学院 原田浩二准教授
そうですね。この指針値というのはどちらかというと直接水道水に使う場合の事を想定していますので、その点ではまだ大きな問題ではないと思っています。

■東島大デスク
熊本市の永田さん、9日から市の調査に入ったわけですけど、農産物、農業への影響を懸念されているということなんでしょうか?

■熊本市 永田努環境推進部長
原田先生がおっしゃったとおり、河川水が農作物にどのような影響を与えるかはわかっていない状況ですけど、我々としてもこの詳細調査をしてその結果を市民の皆様にしっかりお伝えして、データを活用して原因究明をさらに進めたいと思っています。

■武田真一さん
これまで全国のニュースを見てみますと、排出源としては例えば泡消火剤が使われていた市ですとか、有機フッ素化合物を製造していた工場とかあるいは廃棄物の処理施設なども疑われるケースが出てきているわけなんですけど、井芹川の上流にどんな施設があって、排出源はどういう風に考えられているんでしょうか?

■熊本市 永田努環境推進部長
現地の調査ですとか、周辺にお住まいの住民のみなさんにヒアリングということで、これまでだいぶ現場を調べましたけど、今の所究明には至っていないという状況です。

■東島大デスク
そういう施設は今の所見つかっていない?

■熊本市 永田努環境推進部長
はい、ありませんでした。

■武田真一さん
例えば廃棄物の不法投棄の現場などがあるという可能性は考えられますか?

■熊本市 永田努環境推進部長
今の所はわかっていません。

■東島大デスク
その原因について今回私たちが行った調査から考えてみたいと思います。
井芹川の地図。赤い所が国の指針値を超えた所。一番高いのがさきほどから何度も紹介しています熊本市北区植木町の鐙田橋。ここはJR植木駅のすぐ近くなんですよね。ここから上は一大園芸作物の畑が広がっている場所です。
井芹川はここから上流は「鐙田川」と名前を変えてさらに細かな支流に分かれていくんですよね永田さん?

■熊本市 永田努環境推進部長
はい、今回詳細調査が井芹川の本流だけでなく、井芹川に流れ込む支流も調べたいと思っています。
そのデータを活用することによって原因究明につながるのではないかと考えています。

■東島大デスク
ただ非常に細かくなっていって、山の中に入っていくということで、非常に調査自体難しくなっていく?

■熊本市 永田努環境推進部長
9日から調査を実施していますけどできる限り多くの支流、水がとれる範囲で実証したいと考えています。

■畑中香保里アナ
原田先生、発生源はどう推理されますか?

■京都大学大学院 原田浩二准教授
上流がどこまで濃度が高い所が続くのかその辺の確認というのは大事だと思いますし、川だけではなくて、川は地下水とも行き来するような箇所もありますので、これまでの地下水の結果等も含めて今後発生源をさらに絞っていく必要があると思います。

■東島大デスク
川の水や井戸水、地下水も含めてどういう風に広がっていくかということが、ここで農業をやっている方は一番関心があるかと思うんですけど、永田さん、この付近の地下水の流れはどうなっていますか?

■熊本市 永田努環境推進部長
植木地区は地下水の分水嶺(ぶんすいれい)と言われていまして、地下水の流れが変わる場所で、現場付近は非常に複雑な地下水の流れをしているんじゃないかと考えています。

■東島大デスク
つまり植木の鐙田橋辺り一帯を頂点にして分水嶺、水が四方八方に広がっていく場所?

■熊本市 永田努環境推進部長
はい、その通りです。

■京都大学大学院 原田浩二准教授
確かに今回は井芹川を中心に測定したわけですけど実際周辺の川においても似たような組成で見つかっていますので、どのようにそれらが関連しているかということも含めて熊本市には調査いただきたいと思っています。

■熊本市 永田努環境推進部長
今回の調査結果については、市民の皆様にわかりやすく説明するとともに、原因究明をさらに進めていきたいと考えています。

■東島大デスク
武田さん、ここまでご覧になりましたか?

■武田真一さん
これまでの全国のケースでは、例えば近くに大きな工場があるとか米軍基地の近くであるとか排出源がわかりやすい所が多かったと思うんですね。
ただここにきて全国に汚染が広がっていく中で岡山県でも原因がわからないという場所も出てきていますし,、熊本のケースも排出源がわからないということで非常にやっかいなケースだと受け止めています。
国や自治体には少し網の目を広げてこれまで使っていた所はないか。今保管しているところはないかしっかりと調査してほしいなと思いますし、一方でまだ水道水からは高い濃度では熊本の場合検出されていないということで、市民側は冷静に事態を見守っていく必要があると思います。
もちろん熊本市をはじめ自治体のみなさんには調べたデータをなるべく速やかに公開して少しでも安心感を持ってもらうような努力をしていただきたいですが、どうでしょうか?

■熊本市 永田努環境推進部長
今回の詳細調査ですが、しっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えています。

■東島大デスク
風評被害を抑えながらも正確な情報を公開していただきたいということになるかと思うんですけど、原田先生、今回の調査結果は熊本市民にとってはかなりショッキングな結果をお伝えしなければいけなくなったんですけど、今後どういった点にポイントを置いて調査すべきでしょうか?

■京都大学大学院 原田浩二准教授
まずは発生源がどこにあるのかというのを理解することが大事だと思います。
それが見えてくればどのように対処していくのかということも見通しが出てくるのではないかと思っています。

■東島大デスク
KKTでは引き続きこの問題を調べていきたいと思います。

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