■伊藤環境相
「本当に申し訳ございませんでした」

8日夕方、水俣市を訪れ、水俣病の被害者に直接謝罪した伊藤環境相。新たな意見交換の場について問われると。
■伊藤環境相
「最大限努力します」
■水俣病センター想思社 永野三智さん
「努力という言葉ではなく、するかしないかは大臣が決めていい、そういう立場ではないですか?」
■伊藤環境相
「も、設けます」

その頃、首相官邸では。
■岸田首相
「環境省の対応、これは関係団体の皆様方を不快にさせる不適切な対応であったと認識をしています。伊藤大臣においては、今後とも、 この水俣病対策を進めるにあたって、関係者の皆さんに寄り添った丁寧な対応をしていくことも含めて、職責を全うしてもらいたいと考えております」

一夜明けた9日。参議院の環境委員会に出席した伊藤環境相は。
■伊藤環境相
「今回の深い反省の上に立って、環境省として皆様に寄り添って対話ができるようしっかり進めて参りたい」

議員からは環境省の姿勢を追及する声が上がりました。
■立憲民主党 川田龍平議員
「なぜ水俣病の患者があそこまで怒りを露わにするのか、怒りの原点はどこにあると思いますか?」
■伊藤環境相
「未だにこの水俣病の問題が全面的に解決していない。その中で長い年月苦しんでいる気持ちが怒りの原点にあるだろうと考えています」

水俣病問題をめぐって国は、2009年の特別措置法によって可能な限りの解決を果たしたという立場です。しかし、特措法で救済されなかった人が起こした裁判の判決では、救済の対象から外された人たちが相次いで水俣病と認められ、法律の運用の問題点が指摘されています。

水俣市で行われた5月1日の記者会見では特措法の見直しを否定した伊藤環境相。9日の委員会で、改めて水俣病の解決について問われました。
■立憲民主党 川田龍平議員
「患者が望んでいることは何だと思いますか?」
■伊藤環境相
「一言で言うと、水俣病問題の全面解決だと思います」
■立憲民主党 川田龍平議員
「そのために環境大臣ができることは何だと思いますか?」
■伊藤環境相
「現行法制で足りない部分も様々指摘されているので、そこについては、一政治家として努力していきたい」

政治家として問題解決に尽力したいと述べました。

先ほど午後4時まで行われた立憲民主党による環境省の職員へのヒアリングで、環境省の幹部や、懇談の場でマイクの音量を切った特殊疾病対策室の木内哲平室長が呼ばれました。
環境省側が謝罪しましたが、リモートで参加した水俣病不知火患者会の岩崎明男会長は、｢木内室長の態度を一生忘れない｣と怒りをあらわにしました。当面のあいだ、溝が埋まりそうにない状況です。