遮断機も警報機もない熊本電鉄の踏切で車との衝突事故相次ぐ 事故を防ぐには?
熊本市北区清水亀井町にある熊本電鉄の同じ踏切で、1月4日と6日に相次いだ列車と車の事故。12月19日には、約1キロ離れた別の踏切で列車とトラックが衝突する事故が起きたばかりでした。3件の事故でけが人はいませんでした。
■近くに住む人
「遮断機ついてないところがいくつもあるから、危険な所には(遮断機を)つけた方がいいとは思う」
現場に共通するのが、遮断機も警報機もない踏切だということです。こうした踏切は全国に2408か所あり、死亡事故も起きています(内閣府:2022年度末時点)。
その特徴について、鉄道ジャーナリストに聞きました。
■鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん
「遮断機・警報機がない踏切は結局、踏切がまずどこにあるのか気がつきにくい」
遮断機がないことで視覚的に踏切を判別しづらいほか、警報機がないことで列車の接近にも気づきにくいといいます。
熊本電鉄の踏切70か所のうち、遮断機も警報機もないのは約4分の1にあたる17か所。さらに、1月に事故が続いた現場をよく見ると…。
■鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん
「見通しも悪い。進行方向の右側はもう見えないです」
1月の事故を受けて、現場のカーブミラーを大きなものに替えたという熊本電鉄。遮断機や警報機の設置も検討していますが、1か所あたり1000万円から2000万円かかる費用が課題です。
■熊本電鉄安全統括管理者 中野育夫執行役員鉄道事業部長
「やはり大きな設備投資になると、 どうしても国や自治体あたりの補助金というところになりますので、毎年度計画を立てながら打ち合わせをやっているところです」
用地を広げる必要がある踏切もあることから、熊本電鉄の予算だけでは限界があるといいます。
■鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん
「行政との連携はもう不可欠ですね。鉄道会社だけではどうにもできないところはありますね」
対策がすぐには進まない中、熊本電鉄は踏切を利用するドライバーに注意を呼びかけています。
■熊本電鉄安全統括管理者 中野育夫執行役員鉄道事業部長
「踏切では一旦停止して、左右確認して、窓を開けて音を聞くというような形で、そこまでしていただければありがたいと思います」
【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
費用などの課題を考えると、17か所の踏切すべてに遮断機や警報機を設置するには相当な時間がかかるでしょうね。
(緒方太郎キャスター)
熊本電鉄は、列車の接近を知らせる電光掲示の設置の時期を早めるなど、可能な事故防止策から進めています。