上司のパワハラで消防士が自殺 賠償金支払った消防組合が上司に8800万円求償
男性消防士が自殺したのは上司のパワハラが原因だとして、熊本地裁から損害賠償の支払いを命じられた上益城消防組合が、上司に8800万円の支払いを求める裁判を熊本地裁に起こしました。
2月の熊本地裁判決などによりますと、上益城消防組合の当時46歳の男性消防士は、2019年4月、未経験の予防指導課の危険物係長として異動しました。前任者だった上司は、男性消防士に業務の説明をせず丸投げしたり、他者の前で叱責したりしました。男性は、異動から約1か月後、「上司からパワハラを受けた」と 書き置きを残して自殺しました。
男性の遺族が、上益城消防組合を相手取り賠償を求める裁判を起こし、今年2月、熊本地裁は、上司の一連の行為を「パワハラ」と認定し、4000万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。また裁判所は、男性の逸失利益などとして、さらなる遺族側の損害を認め、上益城消防組合は3月、約1億1000万円を支払いました。
上益城消防組合は、3月5日付で上司を相手取り遺族に支払った一部の8800万円を請求する裁判を起こしました。上益城消防組合は、「パワハラにより自殺に至る予見可能性はあった」として、公務員への賠償金などの返還を求める求償権を定めた国家賠償法第1条2項の「重大な過失」にあたるとしています。裁判は5月30日に始まります。