知られざる「保護司」の活動には課題も 罪犯した人の"立ち直り"を支援
5月、滋賀県大津市の住宅で保護司の男性が刃物で刺され殺害された事件。その後、逮捕されたのは男性が犯罪からの更生支援を担当していた男でした。
犯罪や非行をした人の社会復帰を支援する保護司、熊本県内では956人が活動しています。どのような業務をしているのか、そして今回の事件をどう受け止めているのでしょうか。
県内に住む秋吉展明さん(77)。会社勤めをしていた50代のときに保護司を始め、退職後も続けています。
これまで暴行や窃盗、詐欺の罪を犯した人など65人と関わってきました。
■保護司 秋吉展明さん
「刑務所あるいは少年院から出てきたらなかなかしゃべってくれないことが多い。好奇心があるものを拾い出しながら、心の隙間を探しながらそこに入り込んで胸襟を開いてやるというのが我々の今やっている姿」
秋吉さんは担当となった相手の独り言や小さな変化を見逃さないことが信頼につながると考えています。
罪を犯し刑務所や少年院から出た後に保護観察が必要な人の更生の支援をする「保護司」。月に2回行う面接では、生活指導をするほか、悩みの相談を受けることもあります。
■保護司 秋吉展明さん
「対象者が非常に心配していることは『まず自分は“仕事”を早くしたい』と。飲み屋(居酒屋)で働きたいというものですから、車に乗っけて看板の募集のところを探したり」
社会復帰に欠かせないことのひとつが就職です。再犯で刑務所に再び入所する人の約7割は無職です。犯罪に手をそめないためにも就労は欠かせないと秋吉さんも考えます。※法務省調べ
そんな中、5月。滋賀県大津市の住宅で保護司が殺害される事件が起きました。逮捕されたのは自宅で面接をしていた保護観察中の男。秋吉さんも普段、自宅で面談をしていますがこれまで暴力やトラブルは一切なかったと言います。
■保護司 秋吉展明さん
「非常に残念であります。各保護司の先生方も非常に自宅でこのように面談するのを非常に拒否されているところもあると思う。小規模の事務所、公民館等で面接ができれば、また保護司の確保にしても大きなインパクトがあると思う」