【魔の7歳】なぜ?歩行中の交通事故死傷者は7歳が最多 子どもを事故から守るには?
新学期や新年度が始まるこの時期、注意したいのが子どもを巻き込む交通事故です。子どもたち、そして私たち大人はどのような点に注意すればよいのか考えます。
熊本県内では春休み期間中、子どもが被害にあう交通事故が相次ぎました。3月26日には、熊本市西区で6歳の男の子が車にはねられ、足の骨を折る重傷を負いました。
さらに4月2日には熊本市西区で、男子中学生が友人と自転車で帰宅中、ガードレールに衝突し約4メートル下の沢に転落。一時意識不明の重体になりました。
警察庁がまとめた過去5年間、歩行中に起きた交通事故での死傷者数のうち、最も多い年齢は小学1年と2年にあたる7歳の3436人です。事故にあいやすい年齢から「魔の7歳」とも呼ばれています。
熊本県内では、過去5年間で歩行中に事故にあった小学生は、亡くなった1人を含め195人に上ります。このうち、小学1年生と2年生が半数以上を占めています。
低学年ほど事故が多い状況について、交通計画に詳しい専門家は。
■金沢大学融合研究域 藤生慎教授(交通計画が専門)
「小学校1年生、7歳になると、登下校を自分1人でやるようになる。友だちと遊ぶ、公園に向かっているとなると、それが頭の中で考えるメインになってしまうので、車に注意を払うとか、左右を確認しないと、一時停止しないとという意識がどうしても薄れてしまう。これはもう仕方ないことです」
国立大学法人東京農工大学スマートモビリティ研究拠点提供のドライブレコーダーの映像です。画面の右側に公園があります。次の瞬間、左から子どもが急に飛び出してきました。
続いての映像では、直進する車が交差点に差しかかったところ、左から自転車に乗った子どもが。マンションの下が死角となり、直前まで子どもの姿が確認できません。
専門家は、交通量の多い大きな通りよりも、道幅の狭い生活道路の方がよりリスクが高いと指摘します。
■金沢大学融合研究域 藤生慎教授(交通計画が専門)
「細い住宅街の生活道路、もしくは生活道路よりも細いところというのは、子どもたちにとってみたら、本当にひょいと出られるような、ラクチンに出られるようなところ。そこに車が走ってきてぶつかるというところなので、熊本もそういう細い路地は非常に危ないと思う」
行動範囲が広がる小学1年生。無事に「1人歩きデビュー」するため、通学路の危険性を保護者が一緒にチェックすることが重要だといいます。
■金沢大学融合研究域 藤生慎教授(交通計画が専門)
「例えば道路に植栽が植わっているようなところは、大人の視線では車が来るというのがはっきりわかるが、子どもたちには、車が来る、バイクが来る、自転車が来るというのが全く見えない。子どもの目線と大人の目線のギャップはやはりあるので、そういうところをちゃんと埋め合わせをすることで、より安全な交通空間になっていくんだろうと思う」
【スタジオ】
(永島由菜キャスター)
私自身も、転がったボールを拾うとか、意識がそこに向かうと周りが見えなくなるといった経験がありました。毎日車を運転するので、改めて注意しないといけないと感じました。
(緒方太郎キャスター)
私たち大人ができることは何なのでしょうか。藤生教授は、保護者の普段の声かけにポイントがあるといいます。
「行ってらっしゃい」という声かけに、プラスアルファで「どこどこではちゃんと左右を確認して渡るんだよ」など、「どこどこでは」と注意する場所を毎日、明確に伝えることが大事だということです。
また、ドライバーに対しては、「もしかしたら」子どもが飛び出してくる「かもしれない」という意識を持ち、注意を払うようにしてほしいと話しています。