熊本の18自治体が消滅?一方で改善した自治体も… 「消滅可能性自治体」を発表
そうした中、今回のテーマは「消滅可能性自治体」です。少しドキッとする言葉ですが、少子化や人の移動で、将来的に消滅する可能性がある自治体です。24日、民間の有識者らが、全国の消滅可能性自治体を明らかにしました。全国では744の自治体が該当し、その中には熊本県内の18の自治体も含まれました。
24日、東京で行われた人口戦略シンポジウム。
■増田寛也 人口戦略会議副議長
「消滅可能性自治体ですが、これは全体とすると744ということでございます」
民間組織が明らかにしたのは、少子化や人の移動で将来的に消滅するかもしれない「消滅可能性自治体」です。
■増田寛也 人口戦略会議副議長
「100年後には1割程度まで減っていくと、これは最終的には消滅する可能性が高いと、このような推測をしたものでございます」
消滅可能性自治体には、どんな課題があるのでしょうか?消滅可能性自治体とは、2020年からの30年間で、20歳から39歳の若い女性の人口が50%以上減少すると推計される自治体を指します。
この分析は10年前にも行われ、当時は熊本県内26の自治体が該当していました。今回は18の自治体が該当。人吉市や南阿蘇村など8つの自治体は、脱却したことになります。
地域別にみると、熊本地方では、山都町や美里町など4つの町。阿蘇地方では、高森町など3つの町と村です。天草市や水俣市など天草・芦北地方は全ての自治体が該当しました。球磨地方は6つの町と村が該当し、相良村と球磨村は2050年の若い女性の人口減少率が70%を超えています。
地方行政に詳しい熊本県立大学の澤田道夫教授に、この先大切なことについて聞きました。
■熊本県立大学 澤田道夫教授
「消滅可能性自治体の視点が、若い女性に着目した視点ということですよね。若い女性をいかに地域にとどめていくか、女性の雇用をいかに作りだしていくかということをしていかない限り、ダイレクトに消滅可能性自治体を減らすことにはつながらない」
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
改めて、民間組織が公表した消滅可能性自治体には、県内の18自治体が該当しています。熊本県立大学の澤田教授も、中山間地域や県南地方に多いと分析していました。
(畑中香保里キャスター)
今回の公表内容は、出産の機会が減り子どもが少なくなることに着目しています。女性が安心して働けないと出産に踏み切れませんから、女性の雇用というのが大きなポイントになりそうですね。
(緒方太郎キャスター)
一方で、今回の分析では、県内でプラスの結果もみられました。それが、若い世代の女性の人口減少率が20%未満の「自立持続可能性自治体」です。県内では半導体のTSMCが進出した菊陽町周辺など、7つの自治体が該当しています。
この傾向、九州では珍しいようなんです。
■熊本県立大学 澤田道夫教授
「自立持続可能性自治体については、九州では福岡と沖縄を除いてほとんどないんですよね。現在の半導体の波をうまくつかんでいる。その結果、人口が増えていることで考えて良いと思います。中山間地域、県南地域は数値が改善しておりませんので、TSMCの効果を県全体に波及させていく、それが必要になってくるのではないかと考えています」
(畑中香保里キャスター)
南阿蘇村は、前回、10年前の調査では「消滅可能性」だったのが、今回は「自立持続可能性」に大きく回復しました。南阿蘇村の担当者に聞きますと、去年までの10年間で人口は約1800人減少する一方で、110世帯ほど増えているそうです。これについて村は、手厚い子育て支援などが移住者の増加に結びついていると分析しています。こうした効果の表れのひとつかもしれませんね。
(緒方キャスター)
県全体の地方創生の取り組みはもちろん、女性が働きやすい街というのが、今後の鍵になりそうです。