有機フッ素化合物濃度 報道受けた熊本市の調査でも指針値超える
KKT熊本県民テレビと京都大学の調査で、熊本市を流れる井芹川の半分近い区間で発がん性などが指摘されている有機フッ素化合物の濃度が国の指針値を超えていた問題で、報道を受けて熊本市が井芹川とその周辺を調査した結果、多くの地点で国が定めた指針値を超えたことが分かりました。熊本市は今後、川に流入している水路などの検査を行います。
有機フッ素化合物は発がん性を高めるなど人体への有害性が明らかになっていて、使用や製造が規制されています。KKTは京都大学と共同でこの夏、熊本市内の住宅の井戸水や川の水質を調査しました。
その結果、井芹川の中流から上流にかけての6.4キロにわたって、有機フッ素化合物の濃度が国の指針値を超えていることがわかりました。井芹川の総延長は14.5キロ。その半分近くにあたります。
■緒方大樹記者(11月9日)
「JR植木駅に近い井芹川にかかる鐙田橋です。午前10時過ぎから熊本市水保全課の職員たちが川の水の調査を始めました。KKTと京都大学の調査では、この場所で最も高い濃度の有機フッ素化合物を検出しました」
KKTの報道を受け、熊本市は11月9日と16日に井芹川とその上流にあたる鐙田川など28か所の水質を調べました。その結果。
■熊本市環境推進部 永田努部長
「12地点が指針値を超過していて、検出された物質はすべてPFOA(有機フッ素化合物)だった」
熊本市の調査では、井芹川の中流から上流にかけての多くの地点や、井芹川の上流にあたる鐙田川で調査した6地点全てで指針値を超えました。熊本市は、引き続き川の水質を分析するほか、鐙田川などに流れ込む水路を検査し、地下水との関連を調べる方針です。
最も高い値が検出されたJR植木駅周辺には。全国でも有数の園芸作物の畑が広がっています。農業への影響について熊本市は。
■熊本市環境推進部 永田努部長
「下流域で農業用に使われている河川でもあるが、今のところ農業に水を引き込む時期ではない。熊本市の農水局と連携しながらきちんと説明したい」
一方、熊本市内の住宅の井戸でも、新たに植木町などの9か所で国の指針を超える有機フッ素化合物が検出されました。熊本市はこれらを飲み水に使っている25世帯に井戸水を飲むのは控え、上水道に切り替えて欲しいと呼びかけています。
(東島大デスク)
KKTの調査結果と比較すると、今回の熊本市と大きな違いは見られず、井芹川の広い範囲で検出されました。
ただ今回熊本市は、私たちがまだ調査していない井芹川の更に上流、鐙田川(図の紫色の部分)についても調査しました。KKTの調査では、井芹川を遡ればのぼるほど濃度が高くなっていました。ところが鐙田川では数値は頭打ちになっていました。つまり、鐙田川の橋と橋がピークでそれ以上上がってはいないんです。
(畑中香保里理キャスター)
これはどう考えたらいいのでしょうか?
(東島大デスク)
発生源は鐙田川周辺、植木駅周辺の可能性が高いといえそうです。まだ直接の発生源は見つかってはいませんが、手探り状態だった半年前と比べると、確実に調査の焦点が絞られてきました。更に取材を進めたいと思います。