熊本市長「農業用水の利用止めず国と対応検討」井芹川で指針値超の有機フッ素化合物
熊本市を流れる井芹川の上流から中流の6キロ以上にわたって体に有毒な有機フッ素化合物の濃度が国の暫定指針値を超えていた問題で、熊本市の大西一史市長は10日、農業用水としての利用を今すぐ止めることはないものの、今後国などと対応を検討していく考えを示しました。
発がん性などを高めるおそれが指摘されている有機フッ素化合物が熊本市の井戸水から国の暫定的な指針値を超えて検出されたのを受けて、KKT熊本県民テレビは、京都大学と共同で熊本市を流れる井芹川の水を採取、分析しました。
その結果、西区池田の天神大橋から北区植木町の鐙田橋までの区間、約6.4キロにわたって、国の指針値を上回る有機フッ素化合物が検出されました。これは井芹川の総延長の半分近くにあたります。
川の上流ほど濃度が高く最も高かったのは鐙田橋の73.62ナノグラムでした。
この結果について、熊本市の大西一史市長は。
■熊本市 大西一史市長
「これまで、熊本市の基準点で河川の調査をしていたが、そこでは国の指針値の超過は見られなかった。こうした暫定指針値を超えたということが報道されたことは非常に驚いている」
熊本市は9日から井芹川やその支流の9か所で水質調査を始めていて、大西市長はその結果について速やかに公表するとしました。
井芹川上流ではスイカなどの栽培が盛んで、農業への影響が懸念されています。
■熊本市 大西一史市長
「取水制限が必要になるような値というのが、大体どのくらいなのかまだ分からないので、そこについては今後、国や関係機関で検討していきたい」
このように述べて農業用水としての利用を今すぐ止めることはないものの、今後国などと対応を協議していく考えを示しました。
熊本市が9日から調査を始めました。KKTと京都大学が行った調査と同じ地点もありますが、井芹川の更に上流の鐙田川と名前が変わった場所の調査も行っています。KKTの調査で井芹川の最も上流付近、またはそれより更に上流が怪しいと絞られましたので、さらに詰めていくことになります。
大西市長は「調査結果をわかりやすくお伝えする」としていますが、取材では11月中にもまとまる見込みです。KKTでも調査に進展があればお伝えしていきます。