漁港覆う大量死のイワシ 回収作業続く 大型魚から逃げ行き場失ったか
天草市の湾内で見つかったイワシの大量死。海を挟んだ長崎県南島原市でも港でイワシが死んでいたことが分かりました。
大量のイワシの死骸に覆われる天草市五和町の御領漁港。前日に引き続き、19日も漁協や市の職員らが回収作業にあたっていました。
天草市によりますと、18日に回収されたイワシは約25トン。19日も約100人態勢で回収を進めますが、腐敗が進んだイワシが次々と海面に浮いてくると言います。
■漁業関係者
「終わらないですね。次から次に湧いてきているよう」
■ 漁業関係者
「漁ができない、しきらん状況」
19日朝、現場を訪れた天草市長。海を挟んだ長崎県南島原市の市長からある話を聞いていました。
■天草市 馬場昭治市長
「実際に天草市五和町だけでなく、対岸の加津佐(長崎県)の方も同じような状況がありまして」
長崎県南島原市の加津佐漁港。ここでもイワシの大量死が確認されたのです。長崎県が調べたところ、酸素濃度が通常の半分以下に低下していたことから、酸欠が原因とみられています。
一方、天草保健所によりますと、港の海の水質に異常はなく、長崎との因果関係は不明のまま。ただ、漁業者には気になることが。
■漁協の職員
「五和の方はカツオが水揚げされている。通常は時期が遅い。今はだいたい捕れないようですけれど、水揚げされている」
天草の海で今、マイワシを食べるカツオやブリなど大型の魚が例年になく水揚げされているといいます。原因とみられるのがマイワシの増加。エサが増えたことで、大型の魚も増えたとみられます。
熊本県水産研究センターは、大型の魚に追われたイワシが入り口の狭い湾内に逃げ込み、行き場を失ったことで環境の変化や酸欠などで死んだのではと推測しています。
■天草市 馬場昭治市長
「できる限りみなさんの生活に支障がないように、また漁業の皆さんが普通に漁ができるような状況に、1日も早く戻せるように努力していきたい」
20日も続く回収作業。天草市は回収した魚を冷凍保存し、細かくして肥料にすることも考えていますが、あまりに量が多いため、業者と相談したいとしています。