安倍元首相銃撃事件から2年 教団と政治は 被害者救済は
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から8日で2年です。事件をきっかけに、いわゆる”統一教会”をめぐる霊感商法や高額献金などの問題、さらには教団と政治家との関わりの深さがクローズアップされました。一方、被害者や、その支援者は、被害救済は道半ばだと訴えています。
安倍元首相が選挙遊説中に銃撃され死亡した事件から2年。事件では、殺人などの罪で山上徹也被告が起訴されました。
母親が多額の献金をした教団への恨みがあり「教団を韓国から招き入れたのは岸信介元首相なので孫の安倍元首相を殺した」という趣旨の話をしたとされています。
この事件で、霊感商法や高額献金などの問題が注目を集め、政府は去年、寄付の強要などを規制する法律を施行したほか、教団への解散命令を東京地裁に申し立てました。
こうした動きに富山県内で被害者支援を長年続けている男性は、教団をめぐる問題への対応がようやく変わりだしたと話します。
男性「2年前に事件が起きたときに、解散命令請求が出るとか、ここまでのことが起こるとは誰も予想していなかった。すぐにこの事件が忘れられていくのではと」
男性は、かつて教団に入信した妹を説得して脱会させた経験をもとに、信者の脱会や家族の相談などの活動を続けてきました。
去年からは、高知県で立ち上がった被害者支援組織の県内での世話人をしています。
事件以降、被害者や現役信者から様々な相談が寄せられるようになったと話します。
男性「今はまだ”統一教会”が怖いから返金請求できないけども、解散命令が出たら返金請求したいとか、そういう相談も多数あります」
一方、本来なら行政からの支援を求めたいが、これまで教団と関わりを持った県内の政治家への不信感が拭えないとも話します。
男性「本当は県知事に動いていただいて、被害者救済をお願いしたかった。しかしトップの県知事が”統一教会”との断絶宣言をしてないわけですから、この人にいっても無駄ではないかと諦めてしまいまして」
4年前の選挙で教団から選挙支援を受けた新田知事。事件後これまで、教団との関係断絶は明言していません。
一方、今年秋の知事選をめぐっては、自民党県連から推薦の条件として、教団と一切関係を持たないとする方針が反映された党の行動指針に則った行動をする「誓約書」への署名を求められ、応じました。
新田知事「旧統一教会のことも含めて、自民党のガバナンスコードをしっかりと踏まえながら今後の政治活動を行っていきたい」
男性は、教団に対する解散命令が出ることが次の変化につながるのではと期待しています。
男性「(知事は)一部の県民を切り捨てるわけにはいかないと、断絶という強い言葉は言えないといっていたが、宗教弾圧にあたると言っていたが、解散命令が出た場合は、宗教法人ではなくてただの任意のサークルですから、宗教弾圧というのは通用しないはず」
銃撃事件から2年。男性は、山上被告の裁判がまだ始まっておらず、教団をめぐる問題の全貌は見えていない、被害者の救済についても道半ばと話します。
男性「山上被告のやったことはなんだったのか、パンドラの箱は開いたが、中がわからない。まだまだ”統一教会”と政治家の関係もわからない。これからではないか。少しずつ少しずつですね、一歩ずつ、わたしたちのやってきたことがこれからですね」
一方、富山県を含む各地の被害者の救済に取り組む弁護士は、仮に教団が解散となったとしても教団の財産を処分させない法整備が必要だと指摘します。
全国統一教会被害対策弁護団 中川亮弁護士「財産をどこかに売ったりね、処分したり、あるいは 隠したりされると、どうしようもないわけですから、やはりそういうことを未然に防止できるような法律ですね、特例法でもいいんですけど、そのような立法が必要だということを我々としては常々申している」
そして、いわゆる宗教二世や脱会した元信者の支援にも取り組む必要があると指摘しています。
中川亮弁護士「解散をゴールにするのなら、かなり進んだと思いますが、解散した後も被害者の救済という問題が残ります。それについてはまだまだ道半ば というかですね、これから解決すべき問題は多いのではないかなと」