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車内の置き去り事故を防ぐために 富山県内の対策は

2024年7月5日 20:07
車内の置き去り事故を防ぐために 富山県内の対策は

夏場には子どもが自動車の中に置き去りにされ、命を落とす事故が毎年のように起きています。痛ましい事故を防ぐための富山県内での対策を中島記者が取材しました。

富山市の藤園幼稚園です。この日、園児たちが行っていたのは…
「助けて助けて誰もいない、そうだそうだ先生ボタン押したらいいって言ってたぞ。押してみます。ピー!ピー!ピー!」

バスへの置き去りを防ぐための訓練です。園児らは閉じ込められたときに、バス内に設置されたSOSボタンを鳴らす方法を学びました。

おととし9月、静岡県の認定こども園で当時3歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなりました。この事件を受け去年4月、幼稚園などの通園バスに置き去りを防ぐための安全装置の設置が義務化されました。

県内では対象となっている121施設の256台で、すでに設置が完了しています。この園が導入した安全装置は、エンジンを切った後に音声を流し、車内の後部にあるボタンを押さないと止まらない仕組みで、運転者に車内の確認を促すようになっています。

また、閉じ込められた場合にSOSボタンを押すと警報音がなるようになっていて、園では、園児たちに使い方を教えています。

園長「ここにボタンがあるんだよということを理解することで、もしそういう状況が起きた時に、子どもたちはボタンを押せば自分の命は助かるんだということがわかると思いますので、こういう訓練の意義はとても大きいと思います」

JAF=日本自動車連盟が行った実験の映像では、気温35度、車内温度25度に設定したうえで窓を閉め、エアコンも止めます。開始から10分で車内温度は体温を超える37.8度に。ダッシュボードの温度は55度を超えました。わずかな時間でも車内の温度が急上昇することがわかります。

JAFの担当者は「乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し死に至ることがあります。たとえ短時間でも車内に人を残さないようにすること」と注意を呼びかけています。

車内に取り残された子どもが熱中症で死亡するケースは、自家用車でもこれまで繰り返し起きています。

警視庁警備部の災害対策課は、SNSを通じて、力の弱い小さな子どもでも簡単にクラクションを鳴らせる方法を紹介しています。水筒の底で押す、またはハンドルを両手で持ちお尻で押す、の2つの方法で、幼い子どもがいる人は試してみてほしいと呼びかけています。

この時期はわずかな時間でも車内の温度が急上昇して命の危険があります。絶対に子どもを残したまま車から離れないでください。

また幼い子どもが誤って鍵を操作して車内に閉じ込められてしまうケースもあります。車から降りる時は必ず鍵を身につけるなど普段から気を付けたいですね。

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