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再興誓う…輪島で被災 朝市の出店者が砺波で出荷再開

2024年3月7日 19:52
再興誓う…輪島で被災 朝市の出店者が砺波で出荷再開
能登半島地震で被災した人のなりわいの再建が大きな課題となっています。

地震で火災に見舞われた石川県輪島市の観光名所「輪島朝市」で海産物を販売していた女性が、砺波市の業者の協力のもと商品の発送作業を再開しました。朝市の復興を誓う女性の思いを、岡川記者が取材しました。

南谷良枝さん
「おはようございます。臼井さんいろいろありがとうございます」

臼井和重さん
「どうしたんけ、全く違うような出で立ちで」

南谷さん
「これ仕事の服です」

3月3日。砺波市の水産加工場を訪れたのは、輪島市の南谷良枝さんです。「輪島朝市」にあこがれて17歳で店主となり、以来、朝市通りに立ち続けてきました。

しかし、朝市通りは1月1日の地震に伴い発生した大規模火災で壊滅状態に。南谷さんは、店も、仲間も失いました。

南谷さん
「ここの前に店を出してました」

軒先を借りていた工芸品店は倒壊し、南谷さんの倉庫につながる通路が塞がれたため商売道具が出せなくなりました。

干物や塩辛などをつくるため、6年前に建てた加工場も被害を受けました。自慢の商品はインターネット通販でも人気で、地震の前日もこの場所で商品をつくり、全国へ向け発送作業をしていました。

地震で発生した地割れで建物は、日に日に傾いているといいます。しかし、南谷さんは、店を続けることを決断しました。

南谷さん
「やっぱり憧れの場所なので。私たちの生活のすべてが朝市なので。だから朝市にはこだわっていきたい」

手を差し伸べてくれたのは、砺波市で海産物の加工などを行う会社の臼井和重さんと道上嘉治さん。道上さんは輪島生まれで、南谷さんとは同じ中学校の出身です

道上嘉治さん
「輪島でイベントがあった時に偶然出会ってから交流させていただいてたんですけど、震災あった時に声をかけて『こっちで何か作ったりしたらどうや』って」

この日は、道上さんの会社の加工場を借りて、客から注文の入った冷凍の甘エビとガスエビを発送しました。

南谷さんにとっては、2023年の12月31日に輪島の加工場で発送作業をして以来、2か月ぶりの仕事です。2月にインターネット販売を一部の商品で再開したところ、たった1日で全国からおよそ120件もの注文が入りました。

南谷さん
「今のお客様は熊本県の…『自分たちも大変やったけど復興できたから南谷さんも必ず復興できますよ』っていうお言葉を添えてご注文いただいた。時間かかるかもしれんけど復興できるんやって。できないと思うぐらいひどいじゃないですか、輪島の街。だから、復興できるんだろうなって思いますね」

南谷さんは、現在石川県の片山津温泉に2次避難しながら、3月23日に金沢市で開かれる「出張輪島朝市」への出店に向け準備を進めていますが、ゆくゆくは輪島市に戻り朝市を復活させたいと話します。

南谷さん
「やっぱり輪島が好きなので、輪島に帰って、輪島の地で輪島朝市をやりたいなっていう風には思ってます。お客様から『いつまででも待ってるよ、必ず南谷さんのつくったものが食べたい』っていうお声を聞いて、つくらんとだめなんや、つくりたいって思うようになって、皆さんのおかげで生かされているという感じです」
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