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引き下げ処分取り消し 国家賠償請求は棄却 生活保護減額訴訟で富山地裁

2024年1月24日 19:46
引き下げ処分取り消し 国家賠償請求は棄却 生活保護減額訴訟で富山地裁

国による生活保護費の基準額引き下げを巡り、富山市に住む受給者らが国と市に対して減額処分の取り消しなどを求めた裁判で、富山地方裁判所は24日、処分を取り消す判決を言い渡しました。

この裁判は、2013年から15年にかけて国が生活保護費を最大10%引き下げたのは、憲法が定める「生存権」に反するなどとして富山市の受給者ら5人が国と市に対し、処分の取り消しと国家賠償を求めたものです。

2015年の提訴から9年、富山地裁で判決を迎えました。

富山地裁の松井洋裁判長は、生活保護基準の引き下げに関して「厚生労働大臣の裁量権の範囲に逸脱や乱用があると認められる」として国の決定を取り消す判決を言い渡しました。

一方、賠償請求については退けました。

奥野香子記者
「(原告側の)勝訴です。 訴えが認められました。保護費引き下げの違法性認めると書かれています」

裁判を終えて、原告側の弁護士らが会見を開きました。

亡くなった妻から原告を引き継いだ82歳の男性は。
「結論はともかく勝利しましたよと。だけどこの勝利はまだ一歩の勝利。(国は)一審で勝っても巻き返しを必ずしてくる。これからが本番だと」

西山貞義弁護士
「とてもいい判決をしてくれたなと思っている。最低限度の水準を決めるときに『財政を考慮していい』なんて絶対あっちゃならないと。『お金がないから最低基準を引き下げるなんて許しません』と(判決で)明言してくれている。富山地裁の判決がとても評価される理由なのかなと」

生活保護基準の引き下げを巡っては、全国29の都道府県で同様の裁判が起こされていて、これで地方裁判所の判決としては原告側の勝訴は1件増えて、14件となりました。敗訴は11件です。

吉田颯人記者
「裁判は2015年の提訴からきょう、ようやく判決を迎えました。原告側の勝訴となりましたが、この9年間に生きる権利を訴えながら亡くなってしまった受給者の方もいらっしゃいます。一方、全国の裁判をみますと、一審の地裁判決だけではなく、これから控訴審や最高裁へと審理が移る可能性があります。生活保護は病気や失業などによって誰もが利用することが考えられます。そして生活保護は命を繋ぐ最後のセーフティネットと呼ばれています。憲法が定める生存権、健康で文化的な最低限度の生活は守られるのか。注目していきたいと思います」

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