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「捕獲・不妊手術・元の場所に戻す」不幸な猫を減らす富山市レスキューチームの取り組み

2024年12月17日 20:37
「捕獲・不妊手術・元の場所に戻す」不幸な猫を減らす富山市レスキューチームの取り組み

「TNR」という言葉を聞いたことがありますか。捕獲(TRAP)・不妊手術(NEUTER)・元の場所に戻す(RETURN)の頭文字をとったもので、野良ネコなどが際限なく増えるのを防ぐための取り組みです。

この活動に官民連携で取り組む、富山市の”レスキューチーム”を取材しました。

■不幸な猫を減らせ 獣医師らのレスキューチーム


富山市保健所獣医師 山田雅俊さん「います?」「出てる。脱走案件ですね」「あ、向こう側破れてますね。(ネコは)椅子の下の奥にいる」「下の奥に?」

この日、富山市保健所の山田雅俊獣医師が対峙していたのは1匹のネコ。

「ガシャン」「わーすごい、早いですね」「半分野生です」踏み台を使ってネコに近づき「ガチャ」「はい、捕獲」「ここにいるネコは?」「この子たちはいわゆる野良猫で、餌あげている人が、春秋になるたびに増えるんで手術したいっていう相談がありまして。いわゆるTNRという活動で手術して戻すまでの間を過ごしている、そういう状況になっています」

「TNR」とは捕獲、不妊・去勢手術、元の場所に戻すの英語の頭文字をとったもので、いわゆる「野良猫」や、繁殖しすぎて適切に飼育されなくなった”不幸なネコ”を減らすための方法です。手術の証がネコの耳に残っています。

山田さん「外猫が避妊・去勢したかを区別するために耳をカットします。カットした形がサクラに見えるので、サクラカットとかサクラネコという呼び方をします」

ネコは、繁殖力が強い動物です。妊娠・出産は年に2、3回で、一度に産む数は5匹前後。また、生まれた子猫も生後6か月前後で繁殖可能年齢に達するので、繁殖サイクルが非常に速いことが特徴です。1匹のネコが1年で20匹以上、2年で80匹以上に増えることもあるといいます。

今回、保健所は地域住民から「これ以上増えないようにしたい」と相談を受け、4匹を保護、このうち3匹に不妊・去勢手術を行いました。

山田さん「好きで餌をあげている間にそれが増え続けると、どうしたって近所に迷惑かけるじゃないですか。そういうからみで、せめて増えないように」

昨年度、富山市保健所に寄せられたネコのふん被害などに関する苦情は27件。「TNR」によりネコの増加を抑え、殺処分を減らすたけでなく、臭い・騒音などのトラブルを減らすことが期待されています。

■民間ボランティアと連携 取り組み進める


「こんにちは、お疲れ様です。よろしくお願いします」

この日、山田さんが訪れたのは「保護猫カフェ」です。

「一匹だけなんですけど、お願いできますかっていう人がおられて」

オーナーの田畑智真紀さんは、様々な理由で保護されたネコを預かっています。

田畑さん「この子です。多頭飼育崩壊から出た子で、固まりがちだったり、シャーって言ったりするってことで、里親さんが見つからないままお預かりしている子です」

富山市保健所はおととし、田畑さんら民間ボランティアと連携し、「富山市猫レスキューチーム」を発足させました。民間と連携することでそれぞれの得意分野を生かし、幅広くネコの問題に取り組むことができるといいます。

山田さん「猫を捕まえて病院に持っていくっていうのは、ボランティアさんの仕事になります。市だけではできないことを手伝ってもらうことによって、お互いにできることが増えてくるんじゃないかなって思っています」

チームが昨年度、不妊・去勢手術をしたネコは93匹。「TNR」の依頼条件は、1匹につき2万円程度の手術費用を自己負担できることですが、この費用がネックになり、二の足を踏む飼い主も少なくないといいます。

田畑さんは飼い主とネコのためにも、TNRの検討をしてほしいと呼びかけます。

田畑さん「どっちも幸せではないですよね、人間も(ネコも)。まず負の連鎖を一回止めて、それからどうするのか、そういったことを考えていくためにも、やっぱり不妊手術って猫にとっても大事なことなのかな、というふうに思います」

最終更新日:2024年12月17日 20:37
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