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北陸新幹線開業10年 どうなる大阪延伸 混迷するレールの行方

2025年3月12日 20:24
北陸新幹線開業10年 どうなる大阪延伸 混迷するレールの行方

北陸新幹線の富山開業からあさってで10年、今週は新幹線と富山の今とこれからをお伝えしています。きょうは全線開業の見通しが立たない敦賀から西、新大阪までのルートについて考えます。

来月14日に開幕する大阪・関西万博。

10月までの半年間、大阪の夢洲を舞台に開かれます。

関西で万博が開かれるのは、1970年の大阪万博以来55年ぶり。

当時、万博への輸送の主役は鉄道でした。

富山からも大阪まで直通の特急や急行が多くの入場客を運びました。

関西への関心高まらず「足が遠のいているのが現状」

しかし…

県旅行業協会・桶屋諭喜会長「(関西へは)乗り換えを含めるとみなさんの感覚的には、足が遠のいているのかなと思えるのが今の現状かと。サンダーバードが走っていた頃よりは(行ってみたいという)声というのはなかなか生まれないのが今の環境かと」

県旅行業協会の桶屋諭喜会長は、万博、そして関西への関心が高まらない背景には、北陸新幹線の現状もあると話します。

10年前の2015年、北陸新幹線の富山・金沢開業で、東京までは乗り換えなしで2時間余りで行けるようになった一方、関西、名古屋方面は直通の特急がなくなりました。

去年3月の敦賀延伸で所要時間は短縮されましたが、乗り換えが必要なことは変わりません。

福井県・小浜を経由して京都に至るルートを決定も

期待される新大阪までの全線開通、しかしその先行きは、いま、混迷を深めています。

2016年、新幹線計画を検討する与党の整備委員会は、敦賀から先について、福井県の小浜を経由して京都に至るルートを決定しました。

小浜商工会議所青年部・北山政道会長「北陸新幹線への思いを熱く持ってもらい、小浜ルート開業に向けての思いを少しでも伝えられるように」

国は当時、工期を15年と想定し、2046年の完成を目指すとしていました。

しかし、このルートは京都市内を地下トンネルで通る大工事。

建設資材の高騰などもあり、建設費の想定は物価上昇などを考慮すると当初見込みの2.5倍近い5兆円程度まで膨らみました。

京都で強まる反対の声

さらに…

京都仏教会・宮城泰年常任理事「はっきり申しまして、再考してくれではなしに、これでよいのかという問いかけでございます」

京都の寺院で組織する京都仏教会は、「計画は千年の愚行だ」と強く非難。

仏教会に限らず、京都では、地下を通るルートの工事が地下水などに影響を与えると懸念する声が高まっています。

小浜・京都ルートが足踏みする中、にわかに高まっているのが滋賀県の米原で東海道新幹線に接続する米原ルートを支持する声です。

米原ルートを支持する声

石川県民会議の決議「米原ルートも含め、1日も早い全線整備に向けた方策を早急に検討すること」

米原ルートは工事期間や建設費が少なくて済み、現実的な対応だと主張しています。

去年12月、与党の整備委員会は、京都市内のルート絞り込みを見送りました。

与党PT・西田昌司委員長「地元合意ができないと工事が進められないわけで、最短で行うためにもまずは地元の同意が得られることを最優先でやりたい」

専門家「今のままだと敦賀で終わり」

交通政策が専門の富山大学の中川大特別教授です。

京都大学名誉教授でもある中川さん。

新幹線のルートについては…

「小浜・京都ルートっていうのは、事実として、極めて難しくてですね、工事がストップしたりして、裁判のために何年も工事が進まないというようなことなども、起こりかねないですから、このルートはやはり、このまま突き進むというのは、極めて厳しいし、リスクも大きい。(このままでは)もう敦賀で終わる可能性が一番高いと思います。今のままだと敦賀で終わりますよ」

中川さんは、「米原ルート」に加え琵琶湖の西を通るルートや京都のまちなかを通らずに新大阪へ接続するルートなど様々なルート案について、建設費や工期、費用対効果などのデータを示し、改めて議論すべきだと考えています。

どうなる大阪延伸 不透明さ増す

経済効果や東海道新幹線のバイパス機能が評価されている北陸新幹線。ただ、新大阪までの延伸については、人口減少や整備費用の高騰など、整備計画が立てられた半世紀前とは状況が様変わりしています。

中川大特別教授「このルート(小浜・京都)に5兆円をかける意味など全くないと考えている人たちの方が、全国には圧倒的に多いというふうに思います。敦賀で終わってしまいかねない状況にあるにもかかわらず他のことは何も考えようともしていないということは、非常にマイナスな状況だと思うんですね」

北陸新幹線の最終的な目標、新大阪までレールがつながる見通しは、不透明さを増しています。

最終更新日:2025年3月12日 20:24
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